あさ7時から始まる「お朝事」の新たな形?|オンラインお寺参りー福岡県信行寺<後編>

 

丁寧な進行を心がけて

 
――この「オンラインお寺参り」ではどういった質問や感想をいただくのでしょうか?
 
神崎:いろいろな質問をいただきますが、興味深かった質問としては、デザイナーの方による「ご本尊の掛け軸の後光のところがなんで青と金色で配色されているのか?」という質問や、そこから発展して「そもそも、青と金色にはどういう意味があるのか?」といった質問がありました。
 
他には、「ずっと仏法を聞かせていただいているが、やっぱり難しい」といった感想をいただくこともありました。難しいと感じる仏教の話も、一つ一つかみ砕いて、丁寧にお伝えしていくことを心がけたいと思います。
 
――オンライン配信ではどういった工夫をされていますか?
 
神崎:配信の際には外付けのカメラやマイク、PCといった設備が必要になりますが、当寺ではディスプレイを複数枚用意するなど、より円滑に配信できる工夫を行っています。
 
また、行うにあたっては、ファシリテーションを工夫しています。とにかくオンラインは進行が重要で、会の中でファシリテーターから自分の名前が呼ばれるかどうかでも、その方の話しやすさ、参加しやすさが変わってきます。
また、朝の時間ですのでお忙しい方もいらっしゃいます。なので、最初に出入りは自由にとお声がけするようにしています。
他には、正解や間違いを問わず、何でも話してよいという空気感を出すように心がけています。会が進行してからだとなかなか聞きづらいような基本的な問いを投げていただいても問題ありません。
 

活動を通して、世間のニーズを知る

 

YouTubeでの配信用サムネイル(画像提供:神崎さん)

 
――活動を通して、どのような気付きがありましたか?
 
神崎:法話の部分は録画してYouTubeでも配信しており、そちらでも多くの方にご覧いただいています。先日、法事の際に「YouTubeを見ましたよ」とお声がけいただきました。オンラインでの配信を通して、遠かったご仏縁がどんどん近づいているように思います。
 
また、世間から求められている動画はYouTube上でも再生数が伸びます。逆も然りです。仏事の作法に関する動画は閲覧回数が多い傾向にありますし、仏教の教えに関する動画でも、生活に根ざした話は比較的見られているようです。世の中が仏教に対して何を求めているのかを分析する際に、YouTubeの視聴回数が一つの指標になっています。
とはいえ、仏教の教えをきちんと伝えるのも大事なことですので、視聴回数が低くても配信を続けていければと思っています。
 
――最後に、今後の展望について教えて下さい。
 
神崎:新型コロナウイルス感染症のまん延がきっかけで、今までのお寺の代替行事として始まった「オンラインお寺参り」ではありますが、結果的に新たなご縁も生まれました。
今後も、世間からのニーズがあるうちは続けていければと思います。個人的には仏教の教えの「深み」の部分も大切にしながら、今を生きる方々が求めているものは何かを探求していきたいと思っています。
 

編集後記

 
今回は福岡県信行寺さんより「終活講座」、「大人のための寺子屋」そして「オンラインお寺参り」というご活動についてお話を伺いました。いずれのご活動においても、人とのつながりを大切にしながら、企画を進める神崎さんの姿が印象的です。これらの活動が実を結び、多くの方にご仏縁が広がるきっかけが生まれるのではないでしょうか。
神崎さん、ありがとうございました。
 

神崎修生さんプロフィール

 

 

神崎修生(かんざき・しゅうせい)
福岡県糟屋郡宇美町にある信行寺所属。浄土真宗本願寺派(西本願寺)の僧侶。お寺での仏教講座や子ども会の開催、YouTubeやブログでの発信も積極的におこなう。寺院関係者の学びの場「Bラーニング」も、仲間の僧侶とともに開催。
   

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掲載日: 2022.02.28

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