お寺で握力を測ってみませんか?|100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクトー大阪府幸教寺<前編>
(画像提供:石原さん)
大阪市生野区。多様な文化があふれるこの街に、ヘルスケア(健康の維持や増進のための行為や健康管理のこと)を通して健康寿命の延伸をテーマに活動を展開しているお寺があります。
この度ご紹介するのは、生野区の幸教寺で展開されている「100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクト」です。これは、いったいどんな活動なのでしょうか?
イベントを行う幸教寺住職の石原 政洋(いしはら・まさひろ)さんと理学療法士の板矢 悠佑(いたや・ゆうすけ)さんにお話を伺いました。
きっかけは、住職の腰痛だった
――「100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクト」(以下:100PJ)とは、どんなご活動なのでしょうか?
石原 政洋さん(以下:石原):100PJ とは、お寺という共有地 (コモンズ)の特性を活かし、ヘルスケアを行う活動です。この活動は、お寺で筋力テストをしたり、談笑しながら診療所並みの健康相談を受けたりすることが出来るのが特徴です。2021 年4月より始め、これまでに9回行い、生野区の地域の方々にご参加いただきました。
活動の三本柱として、「ココカラ相談所」、「ココカラYOGA」、「大阪府看護協会『まちの保健室』」を展開しています。本日は、100PJ が立ち上がった当初より続いている「ココカラ相談所」を中心にご紹介します。
――このご活動を始められたきっかけを教えて下さい。
石原:きっかけは私自身の腰痛でした。28 歳の時に筋力不足が原因で、坐骨神経痛になってしまったんです。その後、半年ほど腕立て伏せや腹筋といった自重トレーニングを続けたことで、慢性的な痛みはなくなりましたが、当時の経験から気軽にヘルスケアを学べ、相談ができる場所をお寺に用意できないかとひらめいたんです。 しかし、私は健康の専門家ではないので、誰か頼れる方はいないかと探していた時に、共通の友人を通して理学療法士の板矢悠佑さんと知り合い、一緒にプロジェクトを行うことになりました。
板矢 悠佑さん(以下:板矢):私は大阪府大東市の病院で理学療法士としてリハビリの仕事に携わっています。病院では心筋梗塞や脳梗塞脳卒中などの病気を患った人のリハビリをお手伝いしていますが、その中で感じたのは、病気になってからでは遅いということでした。
では、病気になる前になにかできないかと考え、運動指導を通して歩く人を増やしたいと考えるようになりました。しかし、病院所属で実践できる場がなかったんです。どこか良い 場所がないかと探していた時期に石原さんと出会いました。
――お二人の思いが合致して始まったプロジェクトなのですね。そんなプロジェクトが始まった経緯について教えて下さい。
石原:最初の準備期間は 1 か月半くらいでしょうか。2021 年の1 月に板矢さんとお会いして、その後は幸教寺やオンライン上で打ち合わせを行っていました。
そして、「ココカラ相談所」の前身である「100 歳まで歩いて通えるお寺体操(100歳体操)」という名称で同年4月に第1回目を行いました。「とりあえずやってみよう」ということで、活動方針など大まかな内容だけ決めて、あとは活動しながら準備を進めました。
――打ち合わせではどんなことを検討されたのでしょうか?
石原:板矢さんのほか、大阪産業大学スポーツ健康学科の助手の先生にも来ていただき、活動の具体像を話し合いました。とはいえ、板矢さんがすでにノウハウを持っていたので、内容で悩むことはあまりなかったです。それよりも、このプロジェクトの理念のすり合わせに時間を掛けましたね。