長続きしない「運動」を続けてもらうには?|100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクトー大阪府幸教寺<後編>
つまらないことを続けてもらうには?
(画像提供:石原さん)
――運営面で難しいと思うことはなんでしょうか?
石原:やはり、集客です。広報にも力を入れていますが、参加者数が伸び悩んでいます。まだまだ、人って自分の健康に興味がないんだなと思いましたね。とはいえ、健康に対する意識は高くないものの、友人に誘われたから参加したいという方もいらっしゃいます。なので、今後は「誘う人」をどれだけ集められるかが課題ではないでしょうか。
――健康が大事だと思ってはいるけど、なかなか行動には移されにくいのかもしれませんね。
石原:また、費用の面でも課題が残っています。現在、この企画は完全にボランティアで成り立っています。ありがたいことに、板矢さんやスタッフの方にはボランティアで来ていただいており、本当に助かっています。
せめて板矢さんやスタッフの交通費だけでも賄おうと、1,000 円の参加費を検討したこともあり ましたが、それでは高すぎて集客できないため、断念しました。
板矢:私は場をお借りしている立場ではありますが、金銭面でお寺の負担になっていないか気になっています。私自身は運動ができる場を一つでも多く作ることを生涯のテーマにしており、たまたま考えが合致した人と出会ったので運営できていますが、これを他のお寺に横展開するのはまだまだハードルが高いと感じています。
また、健康に対して興味を持ち続けてもらうのが非常に難しいです。フィットネスジムの継続率は半年後で30%、1 年後には10%を切ってしまうと言われる世界です。
そもそも、運動自体は楽しいものではありません。それを続かせるためにはどうすればよいかと 研究していましたが、やはり楽しくなければ続きません。常々楽しませるようなコミュニケーションをすることが取り組むべき課題だと認識しています。
――参加者に楽しんでいただくために、何か工夫されていることはありますか?
板矢:とにかくいろんなアイデアを考え、思いついたらチーム内で共有するようにしています。
先日は、認知機能についての理解を楽しみながら深めていただく為に、ネコミミ(自分の脳波で動くネコのミミ、ニューロスカイ社製)の体験会を行ってみました。
また、将来的には「歩く」をテーマにして、歩くことの効能や要素を体験型で学ぶ企画や、地域 をめぐるウォーキングイベントを考えています。
石原:血圧や体重を自身で管理できるよう、健康手帳を作りました。将来的にはそれをお寺で渡してメッセージを添えたいと思っています。御朱印帳のようなイメージで、ここのお寺に来て運動したら住職に書いてもらえる、といった工夫があれば、参加した人はポジティブな気持ちになれるのではないでしょうか。
他には、目標を達成したらハンカチをプレゼントするとか、とにかくゲーム感覚でやってもらったほうが長続きするのではと思います。幸教寺のオリジナルスタンプや、100 PJのロゴも用意しているので、それらを活用しても面白いかもしれませんね。