長続きしない「運動」を続けてもらうには?|100 歳まで歩いて通えるお寺プロジェクトー大阪府幸教寺<後編>
お寺、地域、行政を巻き込み、大きなプロジェクトへ
――最後に、今後の展望を教えて下さい。
石原:もっと地域の方を巻き込んで活動出来ればと思います。特に、積極的な方をいかに巻き込むかがポイントですね。ヘルスケアは万人にとって必要なことです。どれだけ多くの方に興味を持っていただけるのかを、今後も人生のテーマとして取り組められればと思います。
また、ヘルスケアが万人の課題であるならば、それは行政の課題でもあります。 将来的には、行政の方々と協力し、お寺のプロジェクトを母体として「社会的処方」(*1)の取り組みを地域に広められればと思っています。このプロジェクトが全国のお寺へ広がり、社会的処方の中心地としてお寺が見直されれば良いですよね。
(*1)社会的処方・・・患者の課題を解決するために、地域の活動やサービスなどの社会参加の機会を「処方」すること。 社会的に孤立しないよう地域資源を活用することで、患者の健康やウェルビーイング(幸福で豊かであること)を向上させることを目的としている。(日経BPより)
板矢:今後の展望はふたつあります。一つ目は、行政と協力して地域の中でお寺の機能を高めていくこと、二つ目はお寺の中でこのシステムを横展開していくことです。
一つ目については、どうしてもボランティアベースだと継続性が低いので、行政と関わり公的な助成を受け、地域としての継続的な取り組みにできればと思っています。そのために、今後は行 政からの支援を受けることができるよう実績作りが必要であると考えています。
二つ目については、生野区には本願寺派の寺院が 16か寺あるので、各寺院でこのプロジェクト を展開することです。全寺院で同じことをやると多くの方が同じ体験を出来ることになります。 そして、それを生野区だけでなく、全国のお寺に広められればどんなことになるでしょうか?将 来に大きな希望を持っています。
編集後記
今回は、幸教寺の石原さんと理学療法士の板矢さんに、100PJ のことについて教えていただきました。ヘルスケアには欠かせない運動ですが、なかなか長続きしない方も多いのではないでしょ うか。そんな運動に着目し、いかに楽しく、長続きできるかを模索するお二人の姿が印象的です。 また、誰しもが必要なヘルスケアだからこそ、誰しもを受け入れるお寺で行うことに大きな意味 があるのかもしれません。地域の方々の健康を改善し、お寺の持つコモンズの特性を再び引き出しつつある 100PJ。今後の展開が非常に楽しみです。