知恵を絞り、「世界一イイ感じのお寺」を目指して|「お寺カフェ」ー 北海道法城寺
(画像提供:舛田さん)
北海道むかわ町の浄土真宗本願寺派 法城寺。お寺とともに地域を盛り上げるべく、あらゆる活動を展開されています。前回は、その中の一つである「法城寺コーヒーセミナー」についてお伺いしました。
今回は、同じく法城寺で行われている「お寺カフェ」という催しについて、住職の舛田 那由他(ますだ・なゆた)さんにお伺いしました。また、舛田さんの考える「お寺の魅力」や「開かれたお寺」のあり方についても教えていただきました。
コーヒー薫るお寺の空間は、未来に繋がる地域のハブに|「法城寺コーヒーセミナー」―北海道法城寺
身近なお寺でパティシエ謹製の本格スイーツを
(画像提供:舛田さん)
――つづけて「お寺カフェ」についてお伺いできればと思います。こちらは、どんな催しでしょうか?
舛田:「お寺カフェ」とは、法城寺の副住職が製作するスイーツをコーヒーとともにお寺の空間で味わう、という催しです。当初は、法城寺の門信徒向けに、お彼岸や永代経法要の後に行っていましたが、2021年10月より門信徒でない方もご参加いただける催しとして定期的に開催しています。「法城寺コーヒーセミナー」と同じく、スイーツを通して地域の方が交流できる場、憩いの場になっています。
――法城寺の副住職がスイーツを作られているのですね。催しが始まったきっかけを教えて下さい。
舛田:法城寺の副住職は私の弟なのですが、彼はもともと大阪でパティシエとして活動していたんです。10年前にお寺へ戻ってきたのですが、せっかくパティシエの技術を持っているのだからということで、常例法座の後にスイーツをお出ししたのが始まりです。
法城寺では永代経法要を春と秋にそれぞれ3日ずつ行っていて、3日のうちどれか1日は法要後にカフェを開くようにしました。1時から3時までは本堂で法要を行い、その後は大広間に移動していただき、順次スイーツをお出しするという流れです。
そうすると、カフェを開く日だけ参拝者が倍になるんですよね(笑)。通常は30人くらいなのですが、その日は60人ほど来られることもありました。
この通り、スイーツが非常に人気だったので、コーヒーセミナーといった催しと同じく参加者同士が繋がれる場所、憩いの場所としても開けないかと思い、一つの催しとして独立させました。
「お寺カフェ」は合計30人の枠を設けていますが、ありがたいことに毎回枠がすぐに埋まる、人気の催しとなっています。
――どういったスイーツをお出ししているのでしょうか?
舛田:提供するスイーツは毎回違いますが、最近ではイチゴパフェやモンブランをお出ししました。除夜の鐘のときにはおぜんざいを振る舞ったこともありますね。プロのパティシエだったので、メニューはいろいろあります。
「クレープシュゼット」というスイーツをお出ししたときは「フランベ」と呼ばれる、料理の仕上げの段階で行うパフォーマンスもしていました。
――ものすごく本格的ですね。人気なのも頷けます。
舛田:地元には本格的なスイーツを味わえるお店がないんですよね。北海道だと札幌まで行かないと行けないところが、近くのお寺でそうしたスイーツを楽しめるということで、人気を集めているのだと思います。
「永代経の懇志とは別にぜひ料金をお支払いしたい」との申し出があったので、寄付を募ってみたところ、スイーツの美味しさに感激していただいたのか、過分なご懇志をいただくこともありました。
その時はありがたく頂戴しましたが、やはり料金はわかりやすい方が良いと思い、現在は「お寺カフェ」として開く際に参加費をご門徒の方は500円、それ以外の方は1500円に設定しています。お寺カフェに限らず、コーヒーセミナーなどの行事でも同様に差をつけています。
――料金設定に差を設定しているのはどうしてでしょうか?
舛田:こうすることで、一般の方がお寺の行事に参加しやすくなるみたいなんです。
催しを始めた頃、一般の方から「ご門徒ではないのにお寺に来てもいいのか」というご質問をいただいたんですよ。ご門徒ではないのに、お寺に行くのは図々しいと感じられていたみたいです。