民生委員に向いている人は「きりかえのはやい人」?|民生委員・「みなカフェ」活動ー北海道千正寺
ーー民生委員にはどういった役割があるのでしょうか?
高塚:地域に暮らす高齢者など、生活面での困りごとや悩みをお聞きし、役所に報告することが主な役割です。また、相談内容によっては相談者の生活をサポートする機関にお繋ぎすることもあります。
ーーどのようなご相談が多く寄せられるのでしょうか?
高塚:一番多いのは生活保護の申請のことですね。事情があり生活保護を受ける必要がある場合、相談者の家庭の事情や経済状況を聞かせていただくケースが多いです。他には、母子家庭の方が手当を受けるときの申請支援でしょうか。
申請支援とは、行政側が財政を出動させるのに地域の民生委員にも承認を受け行政、地域で見守るというケースが多いです。悩みを聞くときも確認のために聞く、ということがほとんどで、悩みの聞き出しという役割もあるものの、自分から各家庭に訪問して「元気ですか?」と尋ねるようなことは私の場合多くはありません。
なお、地域の75歳以上の方に寒中見舞いや暑中見舞いを出しています。その際に、困りごとがあれば連絡くださいと伝えています。実際に新型コロナウイルスが流行しだした頃に、マスクが足りていないという相談を寄せられたことがありました。
ーー実際にご活動をされてみて、感じられた課題はありますか?
高塚:やはり、できることが限られているところにもどかしさは感じますね。
また、お寺にも関わることとして、孤独死の問題があります。先日、独居の方が孤独死されていました。その際、残された家財道具の整理をどうすればよいかと大家さんから打診を受けたのですが、私も初めてのケースでしたので役所に相談したんです。
すると、回答は「家財道具の処理は不動産会社が行うことであり、行政の管轄ではないし、民生委員が介入する必要もない」というものでした。なんといいますか、きっちりしているといえばそうですが、少し暖かみがないですよね。
ただ、この件に関しては今後もこうした事例が増えるだろうとの予測もあり、先日の会議でも俎上に上がっていましたね。
ーー柔軟な対応が求められるのかもしれませんね。
高塚:また、根本的な話にはなりますが、今後は民生委員のシステム自体が続かないだろうと思っています。というのは、引き受けてくださる人が少ないんですよね。
お寺の住職さんで民生委員や保護司の活動を行われている人は結構多いと思います。それは、行政の「お寺の人であれば今後もずっとやってくれるだろう」という思惑が隠されているようにも思ってしまうんですよね。
民生委員は78歳が定年となっています。私は2022年現在で53歳なので、後任が見つからなければあと25年近く務める可能性もあるわけです。
なので、最長の任期を定めるなど、運用方法の見直しが必要だと思いますね。
もちろん、お寺の人が担うことで安心してもらえる部分は確かにありますが、だからといって全てを背負う必要はないと思います。地域はみんなで支え合うものですから。