意外と簡単?リモート法事のあれこれを尋ねてみた。|リモート法事―広島県崇興寺
オンラインだからこそ出来ることと、出来ないこと。
――ご活動をされていて、どういった成果や気づきがありましたか?
枝廣:この状況下で都市部に住んでいる若い世代が帰省できないケースもありました。その場合にスマートフォンで参加するパターンが多かったですね。若い世代はリモートで法事に参列することに違和感はほとんど抱いてないようです。
もちろん、実際に参拝していただいた方が良い越したことはありませんが、そういったツールを活用しても許されるんだと救われる人も多いと思います。
体が動かなくてベッドの上から参列する方もいらっしゃいます。そのような方に、今までは法事の様子を写真に撮って事後報告、といったことしか出来ませんでしたが、今はリアルタイムで参加していただけます。これは技術の発達した現代だからこそ受けられる恩恵ですね。
――一方で、どういった課題や難しさがありますか?
枝廣:品質を担保するのが難しいと感じています。特に、配信環境によっては声が聞こえづらいといったこともあるので、スマートフォンの向こうで聞いている人がいる前提で音響を考えないといけません。映像は少々画質が悪くても伝わりますが、音が伝わらないと、おつとめも法話も台無しになってしまいますよね。このあたりはまだまだ工夫の余地があるのではないでしょうか。
また、参拝者がその場に誰もいない、完全リモートの場合は、御布施をいただく方法も工夫が必要だと感じています。先日実施した分では、スマートフォンの送金サービスのPayPayで受け取り、受け取った金額と同額をお寺へ寄付するという会計処理を行いました。PayPayのようなQRコードでの送金の他にも現金書留といった方法があるので、これも検討が必要でしょう。
――配信の際にされている工夫などはありますか?
枝廣:配信の際、試しに私を正面から映すような配置をしてみると、意外と好評でしたね。お坊さんの顔を見ながら法事が出来るのが面白かった、という感想をいただいたんです。よく、おつとめのライブ配信ではカメラを僧侶の背後に置いて、参拝者の目線にあわせている形が多いと思いますが、こういう形もアリなのかなと気づかされましたね。
――今後、リモート法事はどのような形になっていくと思われますか?
枝廣:現時点ではそれぞれの寺院が門信徒向けに行われている状態です。よって、門信徒と寺院という関係性が続く限り、その中で限定的に活用されていくのではないでしょうか。葬儀社がこうしたサービスを始めたら、また違った広がりを見せるかもしれません。
リモート法事は全世界からお受けすることができますので、もしかするとリモート法事が広まる頃には、門信徒の枠組みも変わっているのかもしれませんね。
以前、Instagramのフォロワーからペットの法事をやってほしいというDMをお受けして、それをLINEのビデオ通話で実施しました。門信徒ではない方でしたが、そういう気軽さもリモートの良さでもあるのかなと思います。
全世界から依頼されるという意味では、様々な可能性があるのではないでしょうか。
ーーありがとうございました。
崇興寺について
1671年に開基。2022年で351年目を迎える。もともと海だった場所を干拓して出来た川口村(現在の福山市川口町・東川口町)が誕生した同年に開基。その後、移転することなく現在に至る。
住職は枝廣慶樹(えだひろ・きょうじゅ)さん。
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 明石山 崇興寺
【住所】
〒720‐0821
広島県福山市東川口町三丁目十七番十八号
【TEL】
084-953-0779