人生の最期に、最高の一枚を|お寺で遺影撮影会−広島県崇興寺
写真を通したご縁づくりの可能性
遺影撮影会の様子(引用:崇興寺公式webサイト)
ーー催しの中で課題はありますか?
枝廣:名称でしょうか。「遺影撮影会」という名称が、縁起が悪いという声を頂いたことがあります。
ただ、「遺影」というのはキーワードとして大切にしても良いのではないかと思います。やっぱり、いつ終えていくかわからないのが命ですよね。そして、いつこの世のご縁が尽きるかはだれにも分かりません。であるならば、日々のおつとめはいつも臨終勤行であり、法話は臨終法話なんです。ならば、何気ない写真が遺影となるのは十分にありうることでもありますよね。写真という側面でも、後生の一大事を考えていただけるのであれば、「遺影」という名称も悪くないのではないかと思います。ちなみに、最初に行う法話でも、いま申し上げた内容をお伝えしていますね。
ーーご活動における難しさや、ご苦労されたことはありますか?
枝廣:一人では出来ないことですね。ヘアメイクは美容師さんにお願いすることになりますし、写真撮影もアシスタントの方が居ないと大変です。
また、写真の撮影や修正作業にどうしても時間を要します。
撮影は1時間で10人くらいが限度で、修正作業は1人30分くらいかかります。早くても20分くらい。お参りの後や合間の時間を使って作業をしているので、どうしても納品までにお時間をいただくことになりますね。
ーー遺影撮影会、非常に意義のある催しですが、一方で大変な労力がかかるところが難しいですね。
枝廣:そうですね。私の場合はたまたま機材と技術があったのでそれを活かしていますが、そうでない方が多いと思います。ですが、その場合は外注でも良いのではないでしょうか。例えば、付き合いのある写真館があれば、そこと協力して行うのも一案ですよね。
ちなみに、要相談ではありますが私が各寺院へ出張することも可能です。先日は遺影撮影会を午前に行い、午後に法座を行う寺院にお招きいただきました。午前はカメラマン、午後は布教使としての活動です。
現地のお寺にあるテレビモニターをお借りし、住職には写真を選ぶ作業をお手伝いいただきました。先日は仏教婦人会の方が8人撮影され、その後ご飯を食べて昼からは法座に参加されていました。私も撮影時に「この写真はお見合いに使えますよ!」みたいな感じで盛り上げていますので、和気藹々としていましたね。
ーー「写真」が一つのご縁になるのかもしれませんね。
枝廣:先日、ある僧侶の方がTwitterで「法事の時に写真を撮ることで、記録にもなるし場が和むからオススメ」とツイートされていました。いざというときの遺影の候補にもなりうるので、これは良いアイデアだと思いましたね。そのツイートは多くの人に拡散されていたので、法事での写真撮影に抵抗がある人は少ないのかも知れません。
今後は、遺影撮影会という大きな催しでなくとも、法事の前後にお寺のサービスとして写真を撮るというアイデアもいいのかなと思っています。
「終活」という枠組みの中で遺影は重要です。実際、葬儀の時に大変なことは何かを尋ねた時に写真が無かったという意見が多く、ご家族の方の負担を軽減するという意味でも必要なことではないでしょうか。
ーーありがとうございました。
崇興寺について
1671年に開基。2022年で351年目を迎える。もともと海だった場所を干拓して出来た川口村(現在の福山市川口町・東川口町)が誕生した同年に開基。その後、移転することなく現在に至る。
住職は枝廣慶樹(えだひろ・きょうじゅ)さん。
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 明石山 崇興寺
【住所】
〒720‐0821
広島県福山市東川口町三丁目十七番十八号
【TEL】
084-953-0779
【公式ホームページ】
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