落ち着いた空間で、お経と向き合う時間|お寺で写経会―愛知県普元寺

 

写経を単なる体験で終わらず、仏さまに出会うきっかけに

 

催しの様子(画像提供:西脇さん)

 
――この催しで工夫されているところは何でしょうか?
 
西脇:工夫としては、書き上がった写経をご本尊の前に持って行っていただくようにしていることでしょうか。写経が終わったらお座敷から本堂に歩いて行き、ご本尊の前でお念仏(合掌礼拝)を行っていただいています。ただし、強制はしていません。
 
――ただ写経をして終わり、ではないところが特徴的ですね。
 
西脇:ただ写経して終わり、はちょっと味気ないなと。笑
せっかく写経していただくので、お寺や仏教にもっと興味を持っていただきたいですよね。
また、ご本尊の前へ持っていく際は我々お寺のスタッフも同伴しますので、そこで写経の振り返りや質問といった会話も自然に生まれます。
 
また、希望者には重誓偈の意訳の文章をお渡ししています。最初は住職が重誓偈をテーマに法話をしていました。書き終わったときに意味を尋ねられてお答えすることもあります。写経が単なる体験で終わらず、仏さまに出会うきっかけになってほしいと思います。
 
――他にはどういった工夫をされていますか?
 
西脇:他には、冷暖房を完備した上で、正座ではなく椅子と机を置いて、なるべく楽な姿勢で行っていただくよう工夫しています。
 
また、参加者には手ぶらで参加していただけるよう、お手本と清書用紙と筆記具(筆ペン)をご用意しています。お手本と清書用紙は「創文社」より写経用として市販されているものを利用しており、経文がうっすらと透けて見える紙になぞるように写経していただいています。
また、筆ペンも「かため」と「やわらかいめ」の2種類を用意しています。
 
――広報はどういう形で行われているのでしょうか?
 
西脇:最初は住職がいろんな方に声をかける形で広報を行いました。それがきっかけとなり、現在も来てくださる方が多いです。また、会の最後には次回参加の有無を確認し、優先的に席を確保するようにしています。新規の人にはチラシのほか、Instagram等のSNSを使って告知しています。
 

「普元寺だからできること」を大切に

 
――写経会を実施して、どういった気付きがありましたか?
 
西脇:写経会を実施してみると、お経に興味を示してくださる方は確かにいらっしゃいました。仏教の教えに触れていただくきっかけとして、お経は一つの選択肢になると気づきました。
また、参加者の様子を見ていて、心が落ち着く場や、癒やしや安らぎを得られる場が求められているんだと感じています。お寺にある静かな畳の空間は、まさにそうした場ではないでしょうか。「催しをどこで実施するか」の重要性にも気づかせていただきました。
 
――最後に、今後の展望をお願いします。
 
西脇:写経会は今後も継続的に実施できればと考えています。現在は重誓偈のみですが、今後は他のお経の写経も実施できれば良いですね。法話会には来られない若い世代の方々が集う場なので、門信徒の方以外や、門信徒の孫世代の方々との接点作りにもできればと思います。
 
お寺は地域のよりどころとして様々な人が集う場所であり、自身の立場を気にしなくても良いフラットな場所です。そうした良さを活かし、写経会以外にもいろいろな行事を実施できればと思います。仏教はもちろん、地域性のあること、伝統文化的なこと……「普元寺だからできること」を大切に、多方面に門戸を開いていければ良いですね。
 
ーーありがとうございました。
 

編集後記

 
今回は、愛知県普元寺の「写経会」についてお話を伺いました。「お経を書き写す」というシンプルな行事でも、場所のセッティングや催しの流れを工夫することで、魅力あふれる催しになることに気づかせていただきました。また、そうした工夫を施すことで、写経が単なる体験にとどまらず、仏教に出遇ってゆく場になるのかもしれません。
西脇さん、ありがとうございました。
 

西脇唯真さんプロフィール

 

普元寺副住職。
1997年、愛知県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。中央仏教学院本科卒。神社お寺の検索サイト「ホトカミ」運営メンバー。(普元寺公式webサイトより)
   

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掲載日: 2022.12.14