豊かな自然の恵みをお寺で味わう。|イタリアン精進レストランー広島県浄謙寺<前編>
地域の野菜をふんだんに使った精進料理を。
(浄謙寺公式Instagramより)
――「イタリアン精進料理」の概要を教えて下さい。
浄謙:「イタリアン精進料理」とは、浄謙寺でイタリアン精進という新しいジャンルの料理を味わっていただく活動です。2009年より活動を続けています。
ホームページ、お電話による完全予約制で毎週金・土・日曜日の11時半〜14時頃に営業しており、冬季は休業しています。メニューは、季節ごとに変わる一つのコース料理のみで、料金は6,600円です。
――催しの流れを教えて下さい。
浄謙:催しの大まかな流れは以下のとおりです。
①集合
当日は11時30分にお寺へ集合していただきます。
②おつとめ
まずは本堂に入っていただき、「重誓偈」のおつとめをします。
③法話
その後は私や住職が法話を行っています。
④食事
その後、本堂から庫裏に移動していただき、お食事の時間です。
12時に始まり、13時半頃にはお食事が終わります。
⑤お抹茶
その後、本堂裏の和室に移動していただき、自家製干菓子とお抹茶を提供しています。お客様はお抹茶を飲みながら私たちと話したり、お客様同士で話したり、交流の場にもなっています。
⑥解散
お抹茶とお菓子を楽しんでいただいた後、14時頃に解散していただいています。
お時間のある方は、本堂でゆっくりされたり、境内を散策されたり、時には住職や私が裏庭や畑をご案内することもあります。
食事の前に行われる法話の様子(浄謙寺公式webサイトより)
食後の抹茶席(浄謙寺公式webサイトより)
――ご活動のきっかけを教えて下さい。
浄謙:この活動を始めた母は昔から、山と川と田んぼと数軒の家だけの本当に“なんにもない”集落に人を呼びたい—、という願いをもっていました。15~6年前のある日、お寺に来られた方にご飯とみそ汁とお漬物を出した時、「こういう料理を多くの人は求めていますよ」といわれたことが大きなきっかけとなりました。
また、ありがたいことに近所の方が収穫した野菜をお寺へ持ってきてくださいます。その活路を模索したときに、飲食店というかたちになりました。
さらに母は法要のときのお斎を門信徒さんと作ってきた経験があるので、大人数に料理を振る舞うことに慣れていた、というのも実施に踏み切った理由だったと思います。
――精進料理もさまざまなレシピがあると思いますが、なぜイタリアンを選ばれたのでしょうか?
浄謙:本願寺出版社より『イタリアン精進レシピ』が販売されたことが何よりのきっかけです。身近な野菜でこんなに色鮮やかな料理を作れるのだと、私も母も感銘を受けました。本願寺のお斎文化を現代に即した形にしよう、というコンセプトも良いですよね。
――どういった料理を提供されているのでしょうか?
浄謙:当初はレシピを参考に作成し、現在は季節に合わせた新たなメニュー作りにも挑戦しています。
2021年10月〜11月ごろに提供されたイタリアン精進料理フルコース
(浄謙寺公式Instagramより)
お米のサラダと豆乳パンナコッタ(浄謙寺公式Instagramより)
トマトの冷製パスタ(浄謙寺公式Instagramより)