【コラム】動物のために、今だからこそできること

<活動への影響>

 

 
しかし、そんな教育プログラムやイベントの開催がようやく定着してきた頃、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、人々の生活に影響を与え始めた。身の回りでは、仕事に影響が出たことで保護活動の幅を縮小せざるを得なくなった人や、活動家や里親さんが感染したという連絡も入るようになった。当会が主催するイベントや譲渡会も開催を中止し、初めての試みとして企画していたセミナーも断念せざるを得なくなった。
 
毎年ヨーロッパで開催され、2016年から参加し続けてきた国際動物福祉会議(ICAWC)も、今年2度目の延期となった。世界の犬猫福祉水準を学び日本に繋げたいと考えているが、新型コロナウイルスの影響で、その水準すらも変わったのだろうと推測している。第四波、第五波があり、第六波すら予測される今、私たちに何ができるのか。考えさせられる日々が続いた。
 
そんな中、感染拡大終息の兆しが見えず、さまざまなオンライン化が進んだ事で、これまでになかった可能性に気付かされた出来事もあった。ある日、東北のインターナショナルスクールに務める教員から、ウェブでインタビューが出来ないかと連絡があった。
小学生の児童たちが動物虐待について調べていた際、たまたま見つけた当会のホームページを見て、話を聞きたいと思ってくれたという。その後、別の教育機関から何度かウェブを活用して講義する機会を頂き、現在は中学校や大学から同様の依頼を受けている。
 
これまでに開催した対面授業は関西圏内で留まっていたが、より遠くの生徒に声が届けられるようになったのは、コロナによるものかもしれない。
 

<学びの時期>

 
企画していた催しの中止を決めた旨をソーシャルメディアで発信した際、「突っ走りがちな時に中止するのは、もっとエネルギーがいる事だ」と、共感し、留まり、状況を見極める事の大切さを教えてくれた人がいた。
 
この先20年、30年と続く活動を目標に進めてきた私たちにとって、今は将来起こりうる困難にも立ち向かう力を備える、大切な時期なのかもしれない。今はそう信じて、無理なくできることをしながら、1日も早い終息を願っている。
 

編集後記

 
いまだ世界中で猛威を振るい続ける、新型コロナウイルスによる感染症。そうした中で、大西さんたちのように小さな動物のいのちのために懸命に活動を続ける人たちがいます。いっぽうで、動物たちのいのちを都合の良いモノのように扱い続ける人たちがいるのも、また事実です。
 
私たちは、他のいのちをいただくことによってしか、生きていけません。ですが、同時に「このいのちを奪うことは本当に必要なのか」という疑問を抱くことのできる存在でもあります。こうした動物たちのいのちの現状を、私たちはどう考え、どう接していくべきなのでしょうか?
 
他力本願ネットでは「譲渡会の動物レポート」で、こうした保護動物たちの写真と、彼らのプロフィールを紹介しています。私たちが動物たちをはじめとした他のいのちと、どうすればともに暮らしていけるのか。考えるきっかけになれば。
 

 

大西結衣(おおにし・ゆい)
米国の犬のシェルターで3年間ボランティアを経験。犬や猫の収容数を減らすため、2016年に動物福祉団体「Pawer.」(パワー)を設立。幼稚園〜大学を対象とした「いのちの教室」を展開しつつ、お寺での啓発イベント/譲渡会や、国内外の動物収容施設取材にも取り組む。
   

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掲載日: 2021.09.23