「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ【北海道胆振東部地震編】
図2:むかわ町の被害の様子 北海道震災復興パネル「被害」の状況
(画像提供:北海道)※この情報は北海道のオープンデータを利用しています
ーーまた、北海道地震ではブラックアウトも印象に残っています。
黒田:経済産業省資源エネルギー庁曰く、「ブラックアウト」とは、大手電力会社の管轄する地域のすべてで停電が起こる現象(全域停電)のことを意味するそうです。日本の電力会社が初めて経験する出来事で、当時かなり話題になりましたよね。
地震の震源から近かった苫東厚真火力発電所では、火災が起きたうえ、強振動により機器が損傷して最終的に3機全てが運転停止。また、つながる複数の送電線がすべて切れてしまったことで水力発電所からの電力供給も絶たれ、電力の需給バランスにより生じる周波数変動で北海道全域が停電してしまいました。
ーー資源エネルギー庁の記事を読むと、かなり壮絶な展開だったのですね。
地震発生直後からブラックアウトにいたるまでの17分間のプロセスは以下のとおりで、とても大変なことが次々に起こっていたことが分かります。
② 風力発電所の停止(17万kW)
③ 水力発電所の停止(43万kW)
④ 苫東厚真火力発電所 [1号機] の停止(30万kW)
⑤ ブラックアウトの発生
新千歳空港は地震直後から航空便の運航を停止。その結果、札幌市等では外国人観光客を中心に帰宅困難者が多数発生しました。また、停電により信号機が稼働せず、道内の長距離トラック運送が停止。道内各地において、食料や日用品、石油燃料等の必要物資が不足。全国生産量の約半数を占める生乳の生産においても、搾乳や冷却ができずに大多数の乳業工場が稼働を停止したことで、全国的に牛乳が品薄の状況となるなど、電力が失われたことによる社会への影響は甚大なものでした。
揺れによる被害が大きな地域での停電はしばしば発生しますが、それ以外の地域でも停電してしまう事態もあることを私たちは今回学びました。あらためて、各家庭で地震時の停電への備えの重要性について考えておかなければなりませんね。
そして、遠くで起きた地震であっても、巡り巡って自身や身近な人の生活にたくさんの影響が出てしまうものです。過去の事実や体験に学び、具体的にイメージして、対策と対応をいくつも準備できるようになりたいですね。