最期まで生ききるために死を語る│マザーリーフ デスカフェ<後編>
ご家族を突然死で亡くされてから、死や葬儀に対して疑問を持ち、今日までご活動されている小平さん。前編は、そのご経験や終活セミナーのお話をお聞きしました。後編では、マザーリーフで行われているデスカフェの様子、9月に行われたDeathCafeWeek2020のお話も伺います。
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準備のために死を語る│マザーリーフ 終活コミュニティ<前編>
――デスカフェを運営する中で感じた課題はありますか?
小平知賀子さん(以下:小平):「リアルな死」を感じられていない方が多いことでしょうか。今後送られる立場にある人……とくにご高齢の方の場合、問題に直面すると「子どもに全部任せる」と逃げてしまうんですね。ご家族でちゃんと話し合ってほしいと思います。
終活で死に関する知識は得られても、自分のこととして考えられる人は少ないです。あるいはまだ自分は大丈夫だと思われているか。ご主人のために終活をされていた方が白血病で先に亡くなられたというケースもあるんです。
――「まだ大丈夫」ということはないんですね。わかっていてもそう考えるのは難しそうです。
小平:実際まだ大丈夫だと思っている人に、今から考えておきましょうと伝えるのは本当に難しいです。しかし死について話す必要が出てくるときは急です。余命のこと、延命措置のこと……一人で決定できればいいですが、そうはいかない場合の方が多く、フリーズしてしまう方もいらっしゃいます。
そこで、いろんな人の話を聞くことで自分自身の考えを変えられる機会としてデスカフェが適していると思っています。いろんな立場の方の死の話をリアルに聞けますし、自分の中に落とし込んでもらいやすいんです。
――デスカフェでは、毎回どのようなお話をされているのでしょうか?
小平:毎回おおまかなテーマ設定をしています。話題提供の時間を20~30分設けて、そこからは自由に深めていっていただくという流れですね。同じテーマでも皆さんそれぞれ違う気づきを持たれます。その気づきを納得いくまで深めるので、一回のデスカフェが大体3~4時間になります。
――かなり長時間ですね。しかしそれによって皆さんが消化不良になることなく帰られるんですね。とことん付き合うというのは大変ではありませんか?
小平:参加された方は顔つきが変わって帰られます。それだけでやりがいはありますね。
――デスカフェに参加された方はどんな感想を持たれるんでしょうか?
小平:さまざまですが、「看取りがきちんとできた」、「自分の心の中のもやもやが浄化された」、「今日生きる大切さを痛感した」など、自分の人生を生ききるとはどういうことか、自分の死生観が明確になっていかれる印象を受けます。デスカフェに参加して、死について知らないために漠然と抱いていた恐怖が、知ることでなくなっていくという側面もあると思います。
また、普段家族や近しい人に言えないことをここに言いに来られる方もいます。そうして通われるうちに、「今度、この先私を看取るであろう子どもと一緒に参加したい」という意見も出てくるようになりました。
――その変化は他の参加者からの刺激があってこそかもしれませんね。
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