脱落[だつらく]

脱落[だつらく]…ほんとうは喜ばしいこと

プロ野球のペナントレースも真夏の陣を迎え、いよいよ優勝争いも佳境に入ってきました。  しかし、もうすでに優勝戦線から脱落したチームのファンには、なんとも淋しいシーズンになりそうですね。  脱落は、文字通り、脱(ぬ)け落ちることで、文章の中の必要な語句や文字が抜けることや、一緒にやっていけなくなって、仲間からとり残されることをいいますから、あまり良い意味では使われていませんね。  脱落はもともと、仏教、とくに禅宗【※】でよく用いられる言葉で、そこでは「捨て去る」という意味でした。  我(が)が捨て去られ、とらわれがなくなること、束縛がなくなることをいいますから、解脱(げだつ)と同じ意味です。「心身脱落」という語句も見受けられます。  このように、脱落は煩悩(ぼんのう)を払い捨て悟りの境地に入ることを意味する語ですから、ほんとうは喜ばしいことなのです。  優勝争いから脱落したチームのファンの中には「まあ、こんなものサ」と、やけに悟り顔している人もいるとか……。

【※禅宗(ぜんしゅう)】 釈迦の経や論によらず、直ちに仏の心を衆生の心に伝えることを説く教えで、不立文字を標榜して坐禅を重視する仏教。釈迦から仏弟子の摩訶迦葉(まかかしょう)に伝えられ、達磨大師が中国に伝えた。日本には栄西が臨済宗を、道元が曹洞宗を伝え、中国の隠元が黄檗(おうばく)宗を伝えた。

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「くらしの仏教語豆辞典」より転載

(ホームページ用に体裁、ふりがな等を調整しております)

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