弔いは暗いもの?「はっぴーの家ろっけん」流のお葬式|はっぴーの家ろっけん 首藤義敬さんインタビュー<中編>

仏教は「生きるための処方箋」?「なんか不安」な現代で求められる僧侶の姿とは

 

 
ーー首藤さんにとって、僧侶とはどんな存在だと思われますか?
 
首藤:現代人って「なんか不安」なんですよ。食事に困らず、医療も介護も受けられ、財やサービスも揃っていても、どことなく不安といいますか……。
そんな社会に、哲学や人生観、宗教観を持っている人がいることはすごく意味があると思っていて、そういう存在が僧侶だと思うんです。
 
例えば、病気などで自分自身をコントロールできない時って、かなりストレスが溜まりますよね。そうした時に人生観や宗教観を持っている僧侶の方々がお話を聞いてくださることは、ものすごく「良い」んです。
ただ、そういったニーズを自覚されていない僧侶もいるかもしれません。なので、僧侶の方々には、そうした潜在的なニーズに寄り添って、お話を聞くなどのケアをしていただければ嬉しいです。
 
例えば、今回のお葬式のケースでもほとんどの方が「看取り」という言葉を知らないし、死は病院で迎えるものと思っているので、病院以外の場所で看取るのはすごく怖いんですよね。こんな家みたいなところで最期を迎えてよいのかと心配されるんです。そうした時に、医学的な説明を交えつつ、ご家族にご提案をするのですが、僧侶も一緒に居るとすごく話しやすいんです。「死生観」について、みんなで考えやすい空気感が生まれるといいますか。
 
僕自身は特定の宗教に傾倒しているわけではありませんが、仏教は「生きるための処方箋」かなと思っています。そして、その処方箋を持っておられるのが僧侶なのではないかなと思います。
 

<編集後記>

 
一般的には、しめやかに執り行われるお葬式ですが、共に過ごした人だからこそ、明るく見送りたい。「はっぴーの家ろっけん」で行われるお葬式には、そんな思いが詰まっていました。近親者のみではなく、「はっぴーの家ろっけん」に関わったみんなで見送る。そこには、多くの方々が改めて人生を考える場としての弔いの形があるように思います。
そして、そのような場には、共に考え、時にはそっと導いてくれる僧侶の存在が求められているのかもしれません。
 
「はっぴーの家ろっけん」首藤さんへのインタビュー。最終回となる次回は、現代における家族やコミュニティのあり方。そして、家族やコミュニティを考えるきっかけとなった、あのできごとについてお伺いします。
 

   

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掲載日: 2021.09.24

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