震災の教訓が生んだシェアハウスから学ぶ、あるべきコミュニティの姿とは?|はっぴーの家ろっけん、首藤義敬さんインタビュー<後編>

「コミュニティ」ってなんだ?

 

写真提供:はっぴーの家ろっけん

 
ーーそうした「ごちゃまぜ」がコミュニティを生み、ひいては防災につながるということですね?
 
首藤:そうなんです。そうやって生まれた多様性のあるコミュニティが、実はどんな防災インフラよりも命を救うのではないかと思っています。実際に、地域では「何かあったらとりあえず『はっぴーの家ろっけん』に行く」という流れが生まれつつあって、そうした小さな積み重ねが結果的に防災につながっていくのではないかと思います。
 
ーー地域でのコミュニティ作りが、防災では役立つということですね。
 
首藤:実は、「地域」にはあまりこだわっていないんです。なぜかというと、どこの地域も人口が減っていくと予想されている中では、他の地域からも人を呼び寄せないとそもそも存続できないからです。
 
なので、僕はあまり長田の街にこだわってなくて、他の地域から見ても魅力的なものを作ろうと考えていました。「はっぴーの家ろっけん」でいえば「遠くのシンセキより近くのタニン」というコンセプトがあって、その想いに共感する人がいろんな地域で増えれば良いよねというぐらいの、正解を作るという発想ではなくて、選択肢を増やすというやり方でやっています。
 
また、「コミュニティ作り」という言葉も聞きますが、あれもすごく違和感があって……。そもそも、コミュニティは現象だと思うんです。価値があるものに人が集まって、現象としてコミュニティが生まれるんです。
「はっぴーの家ろっけん」は1週間に200人が集まる場所ですが、実は看板がありません。看板がないのに人が集まって、コミュニティが生まれています。それはなぜかというと、結局のところ、この施設に価値を見出した人がまた別の人を呼んでいるからなんですよね。
 
ーー「はっぴーの家ろっけん」の価値として、どのようなところが見出されていると思いますか?
 
首藤:どういう価値があるかは、それぞれが思い思いに見出してもらえれば良いと思います。それが、看板をあえて用意していない理由で、僕たちがこういう家ですよってカテゴライズしてしまうと、認識が固定化されてしまいますよね。強いて価値を見出すのであれば、「これまでの常識を問う」ことでしょうか。
 

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掲載日: 2021.10.01

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