震災の教訓が生んだシェアハウスから学ぶ、あるべきコミュニティの姿とは?|はっぴーの家ろっけん、首藤義敬さんインタビュー<後編>
新型コロナウイルス感染症は「お題」!首藤さんの描く今後の展望とは
写真提供:はっぴーの家ろっけん
ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。
首藤:2021年現在も新型コロナウイルス感染症は、その終息の気配を見せていません。コロナによって、入居者の方は、1年以上家族と会えないことも珍しくなくなりました。ですが、高齢者にとってその1年はものすごく貴重ですよね。
なので、大掛かりなイベントこそできないものの、感染症対策を徹底した上でなるべくこれまで通り入居者さんや地域の方々が交流できるようにしています。
一方で、子どもたちはこれまで通りの学習が十分にできなくなりました。そこで、オンラインツールを活用して、高齢者がメンター(助言者)となって、子どもたちに教育する仕組みを作りました。もちろん、高齢者の方にもオンラインツールの使い方を習得してもらって、です。
すると、全国から参加できるメリットのほかに、不登校の子どもたちが学習しやすいことが分かったんですね。
そして、2021年の3月からは、「はっぴーの家ろっけん」でフリースクールを開校しました。リアルの場も、オンラインも活用して、死生観や人生観を学ぶ学校です。そこでは不登校だった子どもたちから認知症のおじいちゃんまでが一緒になって学んでいます。前編記事でもお伝えしたとおり、違和感はぐちゃぐちゃになるとどうでもよくなるんです。だからこそ、年齢や事情を超えて共に学ぶことで、これまで学べなかった人たちも学べるようになるんじゃないかと思います。
まさに新型コロナウイルス感染症は、これまでの常識を問う「お題」そのものです。この問題ににとらわれ過ぎず、あくまでも前向きにやっていきたいと考えています。神戸は、新しい文化が生まれやすい街です。そうした環境も活用しつつ、今後もチャレンジをしていきたいと思います。
編集後記
1995年に起こった阪神・淡路大震災から26年、神戸の街は復興し、今も街のいたるところで再開発のプロジェクトが進んでいるといいます。しかし、そうした「復興」はハード面だけではなく、同時に人と人の繋がりといったソフト面に対しても求められているのではないでしょうか?
災害といった、想定外の出来事に直面した時、問われるのは「他人」との日常をどれほど大切にしているか、なのかもしれません。
その意味で、新型コロナウイルスによる感染症は難しいお題です。「大きな社会的混乱の後は新しいものが生まれるんです」と話す首藤さん。今後、「はっぴーの家ろっけん」ではどのような文化が生まれるのでしょうか?首藤さん、ありがとうございました。