【再掲載】敬語か?タメ口か?ーー介護の中で葛藤する人々|むつみ庵(大阪府池田市)②
「サービス」と「素の人間関係」の絶妙なバランス
ーーこれもまた、自然な人間関係があるから成り立つのかもしれませんね。
日髙:そうですね。ケアを完全なサービスと捉えると、どなたにも平均的なケアを提供しなくてはなりませんが、ここの空気感は自宅に近いので、スタッフ同士やスタッフと入居者さんの関係も家族のような素の人間関係に近いのかもしれません。
ですが、素の人間関係になりすぎてもダメで、あまり偏りすぎると完全なプライベートの関係と変わらなくなってしまいます。あくまでも、ケアサービスを入居者へ提供している以上はバランスを取らないといけないのです。
例えば、言葉遣いでも現在の介護では敬語が原則、本人の意志を尊重しサービスとして仕事をすることが一般論です。ですがそうすると人間関係がどうしても遠くなってしまいますよね。かと言って、完全なタメ口では人間関係が逆に近づきすぎてしまう。言葉一つにしてもバランス取りが非常に難しいです。
ーーそうしたバランスは各々が考えないといけないのかもしれませんね。
日髙:ただ、私の感覚では認知症の方に対してお客様的な敬語を使うよりも、フランクにしゃべる方が伝わりやすいんですよね。
私たちが、場面に応じて振る舞いを切り替えるように、介護においても相手に応じて切り替える方が自然で、一つの決められた振る舞いをしなければならないのは却って不合理なんじゃないかと思いますね。
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ゆったりとした空間で出来上がる人間関係は「家庭」に近いものだといいます。しかし、あくまでもそこはグループホーム。「サービス」と「素の人間関係」の葛藤の中で、利用者さんと真剣に向き合うスタッフの姿勢がうかがえます。次回は、地域や医療との連携、そして「お仏壇」についてお伺いしました。(続く)
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暖かな空気に包まれたグループホーム。その中心にある◯◯。