「間食をやめられない」【みんなの人生僧談】
今回のテーマは「間食」。家にいる時間が長くなると、どうしても間食をとってしまいがち。周囲の目が無い事もあって、なんとなく食べてしまう人が増えているようです。ですが、間食はダイエットの天敵。体重計に乗るのが怖い人も増えているのでは。僧侶はこの難問をどう考えるのでしょうか?
部屋に食べ物があるといつまでたってもずるずると間食をしてしまう。
どうにかして、この悪い癖をやめたい。
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田舎好き僧侶(以下:田):なんでやめたいんだろう?
引きこもり僧侶(以下:引):やっぱり体重が増えると色々大変ですから。私たち僧侶の場合は主に正座がつらくなっていきますよね。
サイバー僧侶(以下:サ):それは重大な問題だね。まあ一般的には、見た目とか、健康の問題とか、それに伴う医療費の問題とかがあると思うけれど。
引:東南アジアなどを中心に信仰されている、いわゆる上座部の仏教なんかでは食事は1日2回、午前中だけ、と決められています。やっぱりだらだらと食べてしまうと修行に対する集中力も落ちるからっていう側面もあるのかもしれませんね。
田:でも、食っていうのは生物として根源的なところがあるから、意思の力だけで制限するのはなかなか難しいよね。無理やり興味をなくす事もまず無理だろうし。僕も視界に食べ物があるとつい食べてしまうもの。やっぱり仕組み作りが重要なんじゃ無いかな。
サ:お寺はたくさん食べ物を頂くし、それを残さないように教育を受けるから、間食を始めると止まらなくなっちゃう。普段過ごすところに食べ物を置かないとか、きちんと一カ所に集めて管理しておくとか、決めた時間以外には食べないとか、とにかくルール決めをして自分を管理する習慣をつけておく事が多いかな。
田:一人暮らしなら、必要以上に買わない、っていうのが最も手っ取り早い。とにかく、自分の意思の力を頼るよりは、環境を整えるということの方が重要。
引:仏教でも基本的に意思の力だけで抵抗するよりは、その原因から距離を置く事の方が基本的な対策ですよね。街の中だと誘惑が多いから林や山の中に住む、みたいな。
サ:あと、何故自分の体重が増えたらまずいのかは、ちゃんと知っておく事。理由がしっかりしていれば、それがモチベーションになる。あとは励まし合う仲間を作るのもいいかもしれない。
引:誘惑から距離をとって、己をよく分析して、仲間を作るのが大事って、なんだか仏道の修行法によく似てますね。
田:そりゃまあ、程度は違えど自己を律する方法だからね。
引:仏道修行には諸(色々しなければならない)・久(長い時間がかかる)・堕(すぐ元に戻ってしまう)の三難がつきものですけど、これはダイエットにも当てはまる気がしますね。煩悩を落とすか脂肪を落とすかの違いなのでは?もちろん、痩せることへの過剰な執着は煩悩の一種ではありますけれど。
サ:シリアスさの違いはあるし、比べちゃいけないんだろうけど、似ているところはある気がする・・・・・・!
田:この問題で一番大事なのは、自分を律する事がいかに難しいかを知って、そんな自分とどうつきあうかを考える事なんじゃ無いかな。その点においてはダイエットにせよ、仏道修行にせよ、貴重な体験だよ。
僧侶たちの議論はまだまだ続きますが、ひとまずここまで。
以上、僧侶の部屋での座談会でした。何かのヒントになれば幸いです。
「僧侶の部屋」では、様々な経歴を持つ僧侶たちが、世の中のよくある悩みを勝手にテーマにして座談会形式で自由に話し合います。
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《本日の僧侶プロフィール》
・田舎好き僧侶
大自然とスローライフをこよなく愛する僧侶。将来は畑をいじって暮らしたいと夢見る。
・サイバー僧侶
お寺生まれIT育ち。趣味が高じてIT業界に進むも、自らの使命に気づき僧侶の道に。最新機器への物欲が目下の悩み。
・引きこもり僧侶
学校と図書館と部屋の往復だけで生きてきた引きこもり系。友達は少ないが平気で生きている。