「長いおつきあい」その裏で求められる鍛錬とは|木村共宏さんインタビュー②

木村共宏さんへのインタビュー第2回。前回インタビューの最後では商社マンから僧侶への転身を、「何も変わらない」と振り返られました。これは意外な答えかもしれませんが、その背景には「ご縁」を大切にする木村さんの生き方にヒントがあるのではないでしょうか?今回はそんな「ご縁」についてより深くお尋ねしました。
 

 

長期的な視点に立って

 
ーー商社時代で成功したことや、嬉しかった経験を教えて下さい。
 
木村共宏さん(以下、木村):成功といいますか、嬉しかったことは、相手に想いが伝わったときですね。
僕が人事の採用チームリーダーをしていたときの話です。不合格通知のメールは俗に「お祈りメール」と言われていました。どの会社も不合格を伝える淡白なメッセージの後に、必ずと言っていいほど「今後のご活躍を祈念します」という文言が入っており、それが「お祈りメール」と言われる所以でした。
 
このお祈りメールを初めて見たとき、その文言にすごく違和感を覚えました。世の中全般にそういうものだということでしたが、結局全部自分で書き直しました。まず、応募してくれたことへのお礼、次に、残念ながらご期待に添える結果を報告できないことのお詫び、しかし、入社という形でのご縁は叶わなかったものの、この先弊社と(取引とか)別の形の出会いがあるかもしれないこと、その時はまた違った形でご縁をいただければありがたく思います、というような内容にしたと思います。
 
せっかく受けてくれたのに、そっけないメールを打つのはやるせない思いがしました。それに、合格して入社するよりも、不合格となる学生さんの数の方が圧倒的に多いのです。言ってみれば不合格通知を送る方々とは一期一会です。その一度きりの出会いとどのように向き合うかと考えると、精一杯心を込めたメールにしたいと思いました。
すると、当時流行っていたmixiというSNSに、「(三井)物産からお祈りメールキターT^Tでもなんか他社と違った!」と書かれているのを見つけ、思わず笑みがこぼれました。ついつい合格者の方に注目しがちですが、採用においてはご縁のなかった方々とも「将来どこかで再びご縁があるかもしれない」と思うんですよね。そう考えると適当なことはしたくない。その想いが素直に伝わったのが非常に嬉しかったですね。
 
東京大学でのキャリア説明会(2007年撮影)
 
ーー長期的な視点に立つことが大切なのですね。
 
木村:そうですね。ついつい短期的に物事を考えがちですが、長い視点でモノを見ることがとても大切だと思います。幸い、商社の仕事は長期的なものが多く、仕事の上でも長期的視点を学ぶことができました。石油開発など様々なプロジェクトがありますが、中には30年以上かかるものもあります。自分が立ち上げたプロジェクトも、利益が上がる頃にはそこにいないことも多々あります。
自分が今ここで上げている利益は先輩が作ってくれたものであって、自分は後輩にそういう仕事をつくらなければいけません。そうやって受け継いでいくことの良さというものも学ばせてもらいました。
 

己の気持ちを操るための鍛錬

   

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掲載日: 2020.10.21