絵本で広がる正信偈の世界│浅野執持さんインタビュー<後編>

 

みんなが集まるご法座にするには

 
――今後の展望をお聞かせください。
 
浅野:私はまだ住職ではありませんが、今後住職になっていくときに、通ってくださる門信徒さん方とのつながりに重きを置いていくと思います。
もちろんご法座は大切です。ですが、ご法座をメインに教化・伝道するというよりは、ご法事など普段のご縁を大切にしたり、そこでの法話に絵本を活用したり、イベントを企画したり……いろんなことをした結果、ご法座のときお寺に集まってもらえたら嬉しい、という感じなんですよね。
昔は先にご法座を通して仏教を聞いて、その上での信頼関係、という形もあったのかも知れませんが、いまはそれだけでは難しくなってきているのかもしれません。
その上でさまざまなお寺での試みを参考にしながら、私も門徒さんとの信頼関係を築いていこうと思っています。
 
――ご法座で教えを聞くのが難しくなってきているということは、新たな工夫が必要ということでしょうか?
 
浅野:万福寺に来ていただく布教使さんのご法話はとても素晴らしいものです。
しかし、ご法座、ご法話が素晴らしいことと、お参りいただく方の人数が増えることは必ずしもイコールではないと思うんです。法話が良ければそれでいい、というだけじゃなくて、もっと日常的な心の接点を増やしていくというか。そのように一人ひとりに教えが響いていけば、関係も深まり、結果的にご法座がにぎわうのではないか、と。そのためにも、自分なりにできるやり方で、お参りくださる方と交流できる住職になりたいと考えています。
 
――ありがとうござました。
 
 

さいごに

 
音楽や絵は古くから愛され、人びとに親しまれてきました。それは仏教も同じで、時には読経として。時には仏画として。現代の私たちに届いています。
今回浅野さんは、浄土真宗のみ教えを伝えていく一つの方法として絵本を作成されたと教えてくださいました。この絵本が10年先、100年先に受け継がれていくことに期待が膨らみます。
浅野さん、ありがとうござました。
 
 

プロフィール

浅野執持さんプロフィール写真

 
浅野 執持(あさの・しゅうじ)さん
1971年生まれ。龍谷大学大学院(哲学専攻)修了。2002年まで大三島美術館に学芸員として勤務。現在、浄土真宗本願寺派万福寺(愛媛県今治市)衆徒、広島仏教学院講師、本願寺派布教使
 

   

Author

 

他力本願ネット

人生100年時代の仏教ウェブメディア

「他力本願ネット」は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が運営するウェブメティアです。 私たちの生活の悩みや関心と仏教の知恵の接点となり、豊かな生き方のヒントが見つかる場所を目指しています。

≫もっと詳しく

≫トップページへ

≫公式Facebook

掲載日: 2022.03.08

アーカイブ