シングルマザーの悩みから生まれた地域の子ども食堂|八幡真衣さんインタビュー<前編>
――初回はどんな感じでしたか?
八幡:当初は50人程度の参加を想定し、予備も含めて合計80個のお弁当を用意しました。もちろん、一人ではとてもできないので門信徒の方や私の友人に手伝っていただきました。お寺だから、浄土真宗だからといった意識はお互いになく「ご飯をつくろう!」と気軽な感じで手伝いをお願いしましたね。
蓋を開けてみると80人ほどの参加があり、用意したお弁当はすべて行き届く結果に。多めに作っておいて良かったと感じましたね。
――食材はどうやって確保したのでしょうか?
八幡:大半が寄付で集まった食材ばかりで、我々で購入するのは付き合わせの野菜やふりかけぐらいだったと思います。寄付で集まったものは魚や野菜など、いろいろありましたね。
(画像提供:八幡さん)
――大半が寄付とは言え、それでも結構食費はかかるように思います。金銭面では困らないのでしょうか?
八幡:金銭に関しては、寄付の他に助成金を活用しています。国や行政、民間の財団が助成金を用意しており、子ども食堂を立ち上げる際に受けられる十数万円の助成金もあります。
テンプル食堂を立ち上げた際も申請し、調理器具の購入費用に充当しました。なので、立ち上げの際に金銭で困るようなことはなかったですね。
――その後、吉崎別院でもテンプル食堂を行われたのですね。吉崎別院でもしようと思ったのはどうしてでしょうか?
八幡:私の僧侶としての学びの場であったことが大きいですね。以前、私が教師教修を受ける際に、吉崎別院で声明(お経のおつとめ)を教えていただいていたんです。
また、本堂や厨房が広く、新型コロナウイルスの感染対策も比較的容易であることや、場所が石川県と福井県の県境に近く、多くの人がアクセスしやすいのも選んだ理由です。
――吉崎別院でのご活動の様子を教えて下さい。
八幡:吉崎別院では2020年6月から活動を始めました。本光寺で実施したときと同じ方法で、当初はお弁当を用意しました。ところが、参加者が100人を超えるようになったとき、調理をお手伝いしてくれていたおばあちゃんから「100個以上のお弁当はようつくれん。減らしてくれ。」と白旗が上がったんですよね。
とはいえ、来てくれた参加者を追い返すようなこともできませんよね。そこで、比較的調理の負担が少ない丼ぶりものに切り替えました。その後1年ほどは丼ぶりものを提供しつづけ、提供数も約350個になりました。
その頃に元給食担当を務めていた方、飲食店の店長さんからもご協力をいただけることになり、マンパワーが大幅に拡大したんです。そこからまたお弁当に戻って、現在は400人に支援を行っています。
(画像提供:八幡さん)