介護の分野で、お寺や僧侶ができることとは?|野の風デイサービスセンター 森下広大さんインタビュー<後編>


岐阜県真光寺衆徒、野の風デイサービスセンター施設長の森下広大(もりした・こうだい)さんへのインタビュー後編。後編では、森下さんのご経験談を通して、介護や福祉の分野で僧侶ができることを模索してまいります。
 

 

介護において、僧侶だからできることとは?

 

(画像提供:森下さん)

 
――高齢者施設やデイサービスをされて、どういった気付きがありましたか?
 
森下:例えば、臨床宗教師は病院や自宅に訪問して傾聴活動を行うと思いますが、デイサービスでも同じような場面がたくさんあることに気づかせていただきました。私が僧侶であることを知ると、抱えている思いや自分が悩んでいることを聞いてほしいとおっしゃる方は非常に多いです。また、僧侶が傾聴することに対して家族の方からも反対の声はほとんど聞きません。
 
個別にお話しして、答えを出すわけではありませんが一人ひとりの思いを吐き出していただいています。そうした寄り添いを行えるのは僧侶ならではかもしれません。デイサービスでの経験を通して、日々の月忌参りでも寄り添うことの必要性を感じますね。
 
――どういう話や悩みをお聞きすることが多いですか?
 
森下:多いのは、やりたいことがあっても身体機能で出来ないことに対する悩みですね。他には、進行性の病気を患っていて、病からの回復が見込めないことに対する恐怖を打ち明けられる方もいらっしゃいます。
また、家族との悩みも多いですね。弱っている姿を見せたくないとか、仲が悪いとか……。
 
更に、利用者さんだけでなく家族も苦しいんだと気づかせられます。先日、認知症の利用者さんがデイサービスでお風呂に入ったことを覚えておらず「母がお風呂に入れてもらっていないと言っている」と家族からお叱りを受けたことがありました。しかし後々「すみませんでした。認知症の症状を頭では分かっていても、心では受け止めきれていませんでした。」と。
 
介護に携わっていると、どうしても利用者さんばかりを意識しがちですが、ご家族の方のお話も聴く必要性を感じました。
特に、ご家族は利用者さんが元気だった頃をご存知ですから、利用者さんが日々老いゆくことに対するショックは大きいと思います。その意味では職員とは視点が全く違うので、そこは気をつけないといけませんね。
 

(画像提供:森下さん)

 
――終活において、寺院や僧侶が関与できることはどういったことがあると思われますか?
 
森下:かつては、時間に追われながらお参りしていたときもありましたが、今後はもっと内容を問うていく必要があると思います。お経のおつとめはもとより大事ですが、お参りの中での会話で「今日は何をしていたの?」と尋ねてみたり、その方の思いを聴いてみたりする必要があるのではないでしょうか。そうした会話から見えてくる悩みや苦しみがあるかもしれません。
 
そうした、僧侶だからこそできることをもっと活かすべきではないでしょうか。新しいことを模索することも大切ですが、今までやってきたことの反省も必要だと感じました。
 

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掲載日: 2023.01.24