伝え、教え、笑わせる僧侶に聞いたお坊さんの「これから」|永田弘彰さんインタビュー<後編>
これから先 人生のための授業
――宗教科の先生について教えてください。どのようなことを教えられていますか?
永田:現在は高校 2 年生の進学クラス担当です。非常勤の宗教担当教員で、担任は持っていません。高校生には、日常の中で起きる出来事の捉え方やその出来事に対してどのような選択ができるか、今をどうやって生きるかを、仏教を基に提示しています。
――生徒さんたちは仏教の授業をどのように聞いておられるのでしょうか?
永田:日頃の上手くいかない事や苦労一つ一つの出来事を点で判断しないでほしいと話すことがあります。伝えるのはとても難しいですけどね。最後の授業ではいつもアンケートを取るのですが、宗教に対してイメージが変わった、捉え方や考え方が変わったという感想を書いてくれるので、伝わっていると思いたいですね(笑)。
――どういった授業が好評ですか?
永田:雑談が楽しいようです。その雑談を話しているうちに、なんだかいい話だな、と感じてもらえるよう持っていくのが私の理想ですね。最初から仏教的な話だと固くなってしまうんですよ。おもしろいけどちょっと考えさせられるなという話をしていきたいですね。 自身の学生時代の痛い話やトラブルを面白おかしく話したりしています。お笑い芸人を目指していたとき、ネタを書く癖が今に生きていると感じます。私の中では笑いも点ではなく線なんです。
――永田さんは宗教科の先生として生徒さんたちに何を伝えたいですか?
永田:宗教は受験には使わない科目です。でも将来、嫌なことがあったり何かにつまづいたりしたときに、自分の中で納得する引き出しとして宗教の授業を思い出してほしいですね。そのためにはインパクトの強い言葉を言っておかないと思い出せないので、それを意識して話すようにしています。