気づきにくい暴力的な煩悩【釈尊のことば】
気づきにくい暴力的な煩悩【釈尊のことば】
(本願寺新報 2015年(平成27年)12月10日(木)号より)
この偈(げ)に続いて、釈尊は「人びとが互いに抗争し」「その人びとの心のなかに見がたき煩悩の矢が潜んでいるのを見た」と語られる。そうすると、この偈の後半は、争いあい殺しあっている私たちの心のなかに、気づくことの難しい暴力的で矢のような煩悩が潜んでいることを、釈尊は見抜いたということでしょう。
10月にはエジプトでロシアの旅客機が墜落し、11月になりパリでは連続テロ事件、そしてフランスと関わりの深い西アフリカのマリ共和国の首都でホテル襲撃事件が起こり、政治に直接には関係のない多くの人びとが犠牲になりました。そして、IS(イスラム国)などに支配されている地域でも多くの人びとが犠牲になっていることも忘れてはならないでしょう。10月には、アフガニスタンにある「国境なき医師団」の病院がアメリカ軍によって爆撃され、多くの犠牲者が出ました。
シリアやアフガニスタンなどでは、毎日空爆がおこなわれ、恐らくは多くの非戦闘員が犠牲になっていることでしょう。
「怨(うら)みによって怨みは止やむことはない」という釈尊の言葉を、人類共通の自覚にしたいものです。互いの怨みにもとづく暴力による報復、その連鎖は止むことはありません。
怨みという根深い煩悩を克服できない限り、この地上世界から悲惨な暴力による争いはなくならないのでしょう。犠牲になられたすべての方々に対して、追悼の想いを共に心に刻みましょう。
*ーーーーーーーーー*
『本願寺新報』の情報はこちら
◆本願寺新報 概要説明
毎月3回(1日・10日・20日)発行
但し、1月1日号は「新年特集号」、8月1日号は「お盆特集号」として発行。
また、7月10日号・12月10日号は休刊。
発刊以来120余年の歴史を持つ「本願寺新報」は門信徒の方々の新聞です。
宗門の動き、社会問題、やさしい法話、童話のページなど新しい情報が紙面いっぱい。
1面と最終面はカラー写真を豊富に使ったカラフルな紙面づくりを行っています。
一家に一紙、ご購読をお勧めします。
※同じ号を一括して多部数お申し込みいただいた場合には、部数割引。
※ご購読継続の案内は終了月の45日前。
※写真はイメージです