お墓は暗くて怖いもの?樹木葬のパイオニアが語る理想の霊園│株式会社ココ・プランニング 中本隆久会長インタビュー<前編>
オペラ鑑賞で感性を育む。癒やされる霊園づくりのヒント
――なぜ御社の霊園が受け入れられるようになったのでしょうか?
中本:それまでの霊園は暗いイメージでした。無機質な墓石が乱立していて、夜は歩きたくない雰囲気です。そこへ、弊社が明るいガーデニング霊園を提案したため、歓迎されたのではないでしょうか。息子さんを亡くしたお客さまから、明るい霊園なので、息子の友達もよくお墓参りに集まってくれる、という喜びの声をいただいたことがあります。そのとき、弊社は外観が綺麗なものを提供しているだけではなく、癒しを提供している会社なんだと、使命に気付きました。人びとが何を美しいと感じるか、癒やしと感じるかを常に考えています。
いま、消費者は商品やサービスへの要求が非常にシビアになってきています。そこに応えるには感性が大事です。私は日々感性を磨いているつもりです。オペラを鑑賞したり、海外の教会のステンドグラスにヒントを得て、霊園に反映したりしています。私は団塊の世代のひとりで、私が良いと感じたものは、同世代の方にも良いと伝わるのではないでしょうか。そして、お客様目線を徹底することも大事です。
たとえば、地方のお墓にはきれいなトイレが無い霊園が多いのが気になります。弊社の霊園はウォシュレットを最初に取り入れた霊園ではないでしょうか。こうした地道な積み重ねが大事です。また、弊社の霊園は長いスパンで考え、収益が100年続くお墓として設計しています。100年先を見てつくると、10年後に差がつきます。
――お寺とのお仕事の事例を教えていただけますか。
金沢市の霊園(写真提供:ココ・プランニング)
中本:一つ目は、金沢の臨済宗妙心寺派のお寺です。私がご相談を受けた当時は廃寺寸前の状態でした。しかし、お寺の敷地を見たときに、リニューアルすれば良い墓地になると可能性を感じました。金沢の寺町で良いロケーションでしたし、和尚さまも信用できるお人柄だったため勝算はありました。お寺にはあまり予算がなかったため、施工費用は弊社で出しました。集客に自信があったため、弊社でリスクをとったのです。これは珍しいケースかもしれません。
寺院が境内墓地や納骨堂を開発する際は、石材店の見極めが重要だと思います。納骨堂や集合墓の業者は、お寺からお金をいただいている場合が多いのですが、本当に自信があればお客さん(墓地希望者)からお金をいただけばよいのです。結果としてこの墓地は大成功し、お寺も息を吹き返しました。ご住職の就任10周年記念の集いの場で総代さんから「床が抜けてお墓は朽ち果てていた10年前には、こんなにきれいなお寺になっているとは想像もできなかった」と感謝の言葉もいただきました。
滋賀県の霊園(写真提供:ココ・プランニング)
二つ目は滋賀県の曹洞宗のお寺です。そこは檀家が数軒の困窮したお寺で、永平寺の同門の和尚さまからのご紹介で霊園のリニューアルを引き受けました。紹介してくださった和尚さまのお人柄に賭け、弊社で費用を負担して建て替えました。近隣には大霊園等の競合がありますが、美的センスでは負けません。滋賀県で一番きれいな霊園だと今でも自負しています。弊社が目指しているのは、デパートの大食堂ではなく、小料理屋のような質が高く気の利いた霊園です。
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家の墓から個人の墓へ。終活にお墓が欠かせない理由。│株式会社ココ・プランニング 中本隆久会長インタビュー<後編>