倒産寸前から業界一の終活サイトを築いたマーケティングの視点|清水祐孝さん((株)鎌倉新書 代表取締役会長CEO)インタビュー<前編>

 

「いい葬儀」の閲覧イメージ(画像提供:(株)鎌倉新書)

 
ーー御社のポータルサイト「いい葬儀」「いいお墓」について教えてください。
 
清水:インターネットの領域に進出し、「いい葬儀」「いいお墓」というサイトの運営を始めましたが、当初はお焼香のマナーやお布施など、作法やしきたりについての情報を掲載しているだけでした。無料で公開していたので、その時点ではビジネスにはならないものでした。セミナー等で知り合ったネット業界の方々が事業を成功させ、次々と羽ばたいていくのと比べて出遅れていたように感じました。
 
彼らは自分の安定した地位を投げ打ってまでインターネットビジネスにチャレンジしていたのに対して、私にはそこまでの切迫感がありませんでした。これから本格的にインターネットの時代が来るのなら、もっと真剣にやろうと覚悟をきめました。
 
そして、サイトの運営を始めて数年後に転機となる出来事がありました。ある方から弊社にお電話があり、身内が亡くなり葬儀社を探しているという相談をいただきました。元々弊社で相談窓口を設けていたわけではありませんでしたが、弊社のサイトで葬儀の情報をご覧いただき、どこか葬儀社を紹介してほしいと頼まれたのです。
 
ご紹介差し上げたところ、お客様はもちろんのこと、葬儀社様にとても喜ばれました。葬儀社様はお客様を見つけることにとても苦労されていたためです。このマッチングの経験をきっかけに、インターネットを活用して、葬儀社様の集客のお手伝いをしようと考えました。そして、お客様のご紹介をし、手数料をいただくことで事業化できるのではないか、と着想しました。葬儀についての情報収集をするのは比較的高齢の方が多いですが、インターネットの普及によって徐々に若い世代の方々も増えてきました。インターネット黎明期から事業をスタートできたことで、「いい葬儀」、「いいお墓」、そして「いい仏壇」は、おかげさまで日本最大級のポータルサイトに成長しました。
 

終活ワンストップサービス(画像提供:(株)鎌倉新書)

 
ーー御社のポータルサイトの競合他社との違いや強みなどを教えてください。
 
清水:弊社は葬儀だけ、お墓だけの単体の情報を提供するのではなく、介護、相続、不動産などの終活に関するさまざまな情報をワンストップで提供していることに強みがあります。
 
葬儀、お墓、仏壇は人生の困りごとの一つに過ぎません。終活はもっと広いもので、人が亡くなる前と後で訪れるものです。このため、例えばご両親の介護を終え、その後は葬儀、お墓、相続などを検討するお客様に対して、一連の終活情報を提供することを心がけています。終活に関するサービスは、多くの場合人生で1~2回しか利用することはありません。
 
リピート性が低い買い物で、お客様と事業者様の間で情報の非対称性が大きいため、お客様から見るとどれが本当に良いサービスなのかが非常に見えづらいのです。また、葬儀が終わり、再度ゼロからお墓や相続についての情報収集をするというのは大変な負担になります。弊社はメディアに徹して、有益な情報を提供し、お客様が適切な専門家や事業者様を探すストレスを減らしたいと考えています。
 
理想は、高齢者にとってのお困りごとを網羅し、終活に関するさまざまな課題を解決する「終活インフラ」となることです。中には、たとえ短期的には収益につながらなくても、お客様にとって必要で重要な情報もあります。たとえば終末期医療に関する情報や、家族との思い出ののこし方等についても、しっかりと提供していきたいと考えています。
 
 

 

   

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掲載日: 2022.04.07