宇宙葬も定番に?これからの時代のお墓と宗教|大竹将人さん(株式会社MMC代表取締役社長)インタビュー<後編>

和歌山市内で開発中の樹木葬霊園CG(写真提供:株式会社MMC)

 
樹木葬をリードする株式会社MMC(エムエムシー) 代表取締役社長 大竹将人(おおたけ・まさと)さんにお話をうかがっています。後編では、お墓の存在意義や、宗教の役割についてお伺いしました。
 

 

海洋散骨から宇宙葬まで。多様化するお墓と、その存在意義。

 
――そもそもお墓はいらないという方もいらっしゃる昨今、お墓はなぜ必要だと思われますか?
 
大竹将人さん(以下、大竹):亡くなられた方のお骨の埋葬場所というだけでなく、残された方の心の問題だと思います。お墓は、そこにいれば故人と一緒にいられるような、安らぎを得られる場です。故人とつながった感じがして、故人とちゃんと挨拶できたな、とすっきりとした気持ちになります。自分が存在していることのルーツを辿っていくと、この人がいないと自分がいない、と再認識することになります。原点に帰ることができるのです。
私たちは日々、いろいろなストレスの中で生きていますが、何があったとしても最後に話しかけることができる場があれば、がんばれる気がします。
 
――近年、お墓参りや供養に関して、どのような変化を感じますか?新型コロナウイルス感染症拡大による変化などはありますか?
 
大竹:新型コロナウイルス感染症の拡大によって、葬儀もお墓参りもリモート化する選択肢も出てきましたが、なかなかリアルには勝てません。弊社も実際にリモートでの霊園見学やお墓参りも提案していますが、需要が少ないです。納骨堂については、密室のためやや敬遠されているようには思いますが、樹木葬に関しては感染症の影響はあまり感じません。納骨堂と樹木葬は価格的には近いのですが、2020年に樹木葬が35%、2022年には50%を超えるなど、シェアが伸び続けています。納骨堂は雨にぬれず、エアコンがきいた中で快適にお参りできるということで、都心の人には便利で受け入れられました。
 
しかし、お参りしたときの感覚として、樹木葬の方が青空の下で木々に囲まれ、気持ちがよいのではないかと思います。樹木葬の中でも合祀墓に抵抗がない方も増えています。コストが安いというだけでなく、個別の墓石が無くてみなさんと一緒でも気にならない、という感覚の方が増えているんだと思います。
宗教への関心がこれだけ薄くなると、お墓を持たなくてはいけないという気持ちもなくなってきて、お墓そのものをいらないという方も増えるかもしれません。お墓はいらないから、思い出の場所に葬ってほしいというニーズもあるようです。
 
現状では一般墓、納骨堂、樹木葬以外はシェアが3%くらいです。この内訳としては海洋散骨に加え、宇宙葬等もありますが、宇宙開発が身近になってきたらブレイクするかもしれませんね(笑)。より多様化していくのではないでしょうか。次の世代にお墓を遺さない、という傾向も顕著になるかもしれませんね。
 
――少子化・後継者不足など環境が変化する中で、これからのお墓はどうしていけばよいのでしょうか?
 
大竹:お墓のマーケットは縮んでいくかもしれません。しかし、少子化が進む中でも伸びている学習塾があるように、やり方次第ではないでしょうか。良いものや本物の価値が欲しい方の需要はちゃんと残ると思います。弊社では多くの方が、生前からお墓を準備されています。そのため生前からどれだけ接点を持てるかが大事です。お墓は葬儀とは異なり緊急のものではなく、ゆっくりと選ぶことができます。たくさんの霊園を見学した上で、購入される目の肥えた方が増えていくでしょう。
 

これからの時代における宗教の役割とは?

   

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掲載日: 2022.06.14

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