楽しみから悲しみまで、子どもたちとともにあるお寺|愛知県教西寺<前編>

 

「楽しみ」から「悲しみ」まで

 

影絵劇の様子

 
ーー他には、子ども向けにどんなイベントを行っていましたか?
 
千空さん:他にはキッズサンガでの影絵劇でしょうか。住職はかつて龍谷大学の部活で宗教教育部の影絵劇研究会に入っていたので、自坊へ帰ってきて何かできないか、という思いで始めました。
また、そのときに私が幼稚園と小学校のPTA役員をやっていたので、仲間に呼びかけたところ、「人形劇の経験はあるけど影絵劇はないのでぜひやってみたい!」とメンバーが集まりました。何年かやっていくうちにメンバーの子ども達も大きくなって、演じてみたいと言ってくれたので、中高生も一緒にやるようになりました。
 
教道さん:また、子どもたちのグリーフケアも考えています。「グリーフサポート あいちこどもの森」という子どものグリーフケアをされている団体とご縁があって、ワンデイプログラムの会場として使っていただいています。
葬儀の場で大人は本音を言えても、子どもはなかなか話せないんです。例えば、学校に行ってもお姉ちゃんが死んだことをクラスメイトになかなか打ち明けられないとか。そうした、子どもが死について語る場を持てるように、活動されている「こどもの森」さんの思いに賛同し、お手伝いさせていただいています。
 
ーー確かに、学校では死について話す場は少ないでしょうし、身近な人の死はなかなか打ち明けられないですよね。
 
千空さん:あいちこどもの森さんのグリーフサポートは、親やきょうだいなど、本当に身近な人の死を経験したグリーフのサポートが中心なんですが、それ以外にも近所の子どもたちがお寺に遊びに来たときに、ふと「この間おばあちゃんのお葬式に行ってきた」とか「おばあちゃん冷たくなってた」と葬儀で感じたことを話してくれます。
私たちが話題を提供しなくても、自然と仏さまの前でそうした会話が生まれていて、私たちも一緒に聞かせていただいています。
 

「何でも話して良いよ」教西寺が大切にしていること

 
ーーそうしたことを、子どもたちが何気なく話してくれるのはどうしてでしょうか?
 
教道さん:「本当になんでも話して良いよ」と言っているからだと思います。また、イベントや集まりを続ける中で、何を話しても否定されない安心感が作られてきて、そこから気軽に話せる雰囲気を生んでいるのだと思います。
 
ーー何を言っても否定されない。非常に大切なルールですね。他には、大切にしていることはありますか?
 
千空さん:「誰かを故意に傷つけるような発言、行為をしないこと」ですね。話したことがたまたま相手を傷つけてしまったのは仕方がないことですが、「しんどい」と言っても良いし、その場を離れても良いと伝えています。嫌だなと思ったときにはそれぞれの心や身体に従って良いし、選択肢は参加した人にあると考えているからです。
 
ーーあくまでも「故意に傷つけない」というところがポイントなのですね。
 
千空さん:誰もが気をつけていても、言われたことに傷つくことはあると思います。その時に「私はそれを言われていやだった」と思ったり発言したりできる空気が大切だと思いますし、何を言っても否定されない、というのは、「どう感じているか」をがまんせずに言ってもいい、ということだと思います。又、言った方は傷つけてしまったな、と感じたら、次からその人が気をつけるだろうと、特に言及はしません。
 
教道さん:誰もが自分のままでいい、他の人と比較しなくて良い、これはイベントに限らず、どんな場面でも共通することですよね。葬儀や法事など、あらゆる場面でそういう姿勢を大事にしています。
 

<編集後記>

学校の宿題を行う場からグリーフケアまで、地域の子どもたちのあらゆる場面に寄り添ってきた教西寺。「わざと人を傷つけてはいけない」「何でも話して良い」というシンプルなルールは、子どもたちにとって覚えやすいだけでなく、自分らしく振る舞っても大丈夫なんだという安心感を得やすいのかもしれません。
多くの子どもたちが日々集うお寺。そこには「将来、人生を歩む中で苦しいことや迷うことがあった時、お寺に頼るという選択肢を持っていて欲しい」という住職と坊守の温かなおもいに満ちていました。
 

教西寺について

 

教西寺外観

 
〒466-0012 名古屋市昭和区小桜町2-4
T E L :052 – 731 – 3117 (24時間)
Mobile:090 – 6507 – 1400 (緊急時)
web:http://www1.m1.mediacat.ne.jp/kyosaiji/
E-Mail:kyosaiji@mediacat.ne.jp

   

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掲載日: 2021.08.14

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