認知症と親子関係。支援を通して気づくこと|お寺で知る終活講座第2回レポート
認知症の特徴は「進行が進むと病気である自覚が薄れる」こと
増本敬子先生
続けて、増本先生の講演では、「認知症とは」、「認知症と親子関係」、「生きるとは」について、先生が認知症治療病棟に勤められていたときや、先生のご実母が認知症になったときの経験を踏まえてお話しされました。
認知症は、骨折や火傷といった怪我とは違い、外見からは判断がつきにくい病気です。特に、人付き合いのないご高齢の方は、認知症の自覚があっても迅速に対応できずそのまま過ごしてしまわれるそう。また、周囲の方も高齢だからと、認知症の症状を見逃されることが多いといいます。それゆえに、発見が非常に難しく、病院で受診される時には、既に認知症が進行していることも多々あるといいます。
認知症には「進行が進むと病気である自覚が薄れる」という特徴があります。日常生活が破綻して周囲が心配しても、ご本人には意外と危機感がなく、この時期に認知症の方とそのご家族(親子関係)の軋轢やトラブルも起こりやすいそうです。
しかし、親子の問題は認知症になって初めて起こるものではなく、健康な状態の時から既に存在していた軋轢やトラブルが、親が認知症になった事で表面化したり、より深刻になったりするそうです。認知症になる前に、親子の関係を見つめなおすことや、認知症になった時にどうありたいか?を互いに確認し合うことの大切さを話されました。
「こうしてあげればよかったと後悔することばかり」親子で向き合う大切さ