認知症と親子関係。支援を通して気づくこと|お寺で知る終活講座第2回レポート

2021年9月25日(土曜日)、京都市の西本願寺・聞法会館で、親世代と子世代を超えた交流イベント『お寺で知る終活講座~本当にあった事例から知る親子の本音〜』が行われました。主催は浄土真宗本願寺派総合研究所、また京都府内の高齢者をサポートする「公益財団法人京都SKYセンター」の企画協力を得た、全5回の連続講座です。(詳細はこちら
 

 

 
各回には、介護や医療、財産や葬儀など、終活(*1)にまつわるテーマが設定されており、そのテーマに沿った講師の方にお話をいただきます。大切なこととは分っていても、なかなか気が乗らず、後回しにしがちな「終活」を、親子で一緒に考える機会となるイベントです。新型コロナウイルス感染症対策を徹底しながら、会場参加とオンライン参加のハイブリッド形式で行いました。
 
第2回目となる今回の講演は、医療(認知症、終末期等)をテーマとし、認知症啓発団体「おれんじ畑」の代表で、精神科医の東 徹(ひがし・とおる)先生と同団体の主任講師で、介護福祉士の増本 敬子(ますもと・けいこ)先生に「認知症と親子関係〜支援を通して気づくこと〜」と題してご講演いただきました。
 

-講師紹介-
精神科医 東徹先生
2010年から精神科医。現在、藍野花園病院勤務。
2016年から認知症啓発団体「おれんじ畑」代表。
2017年「精神科病院で人生を終えるということ〜その死に誰が寄り添うか」(日経BP)を出版。
2019年から引きこもり文学大賞、引きこもり絵画大賞を主催。
 
介護福祉士 増本敬子先生
精神科認知症治療病棟・認知症対応の訪問・グループホームを経て現在、伏見区認知症初期集中支援チーム勤務。
実践型認知症啓発団体おれんじ畑の講師。

 
『お寺で知る終活講座~本当にあった事例から知る親子の本音〜』第2回での質疑応答一覧はこちら
 
 

命の危機がせまったとき、想いは正しく伝わらない?

 

東徹先生

 
東先生の講演のテーマは「医療における終活」。始めに、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について紹介されました。
ACPとはご家族や近しい人、医療ケアチームが繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するというプロセスのことで、「人生会議」とも呼ばれています。
そして、ACPを啓発するポスターから、「命の危機がせまったとき、想いは正しく伝わらない」という文言を引用し、事前の家族間での相談を強く薦められました。
 
それらを踏まえ、東先生は事前の相談・意思決定が重要である理由として、医療の現場で日常的に患者さんのご家族に対して質問している、下記の事項を紹介されました。
 

・心肺停止した時、心肺蘇生を望むか?
・呼吸が停止した時に気管挿管を希望されるか?
・食事が自力で取れなくなった時、胃ろうを作るか?
・栄養が取れない時、中心静脈栄養を行うか?
・この病院では治療が困難な時、急性期病院に転院を希望するか?

 
これらは、医者が患者さんとそのご家族に対して日常的に行っている質問だそうです。心肺停止や気管挿管が必要な時、すでに意識はない状態がほとんどであり、胃ろうが必要な状態や、自身で栄養が取れない状態の時は、意識はあったとしても余命が数日〜数か月であることが多くを占めるといいます。また、命の危機が迫り、小さな病院から大きな急性期病院へ転院するかどうかも予め確認をしているそうです。
 
それぞれの項目がどういうことかを来場者に丁寧に説明しつつ、実際に聞かれた時を想像しながら、それぞれの質問に対する回答を予め考えておく重要性を伝えられました。
 
ACPのポスターは「不安を煽るものだ」、「がん患者など、当事者への配慮を欠いている」と多くの批判を集めたといいます。しかし、人は100%死ぬ、しかもそれはいつなのかが分からない中で、先送りにしても良いのでしょうか?と疑問を投げかける東先生。
ポスターに書かれた「命の危機がせまったとき、想いは正しく伝わらない」というキャッチコピーは全く嘘ではないとした上で、東先生は命の危機が迫っていない段階での、意思決定の大切さを説明されました。
 
 

「死に方」には4つのパターンがある

   

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掲載日: 2021.12.21