催しを通して、地域の不安に寄り添う|「徳地のえんがわカフェ」ー山口県超勝寺
工夫を重ね、当事者にとっての大切な居場所に
(画像提供:大來さん)
――この催しはどういった流れで行われるのでしょうか?
大來:最初に法話を5分くらい行い、その後はDVDの教材を活用してヨガやダンス、なぞなぞやクイズ、じゃんけんといったレクリエーションを1時間程度行います。残りの1時間は参加者の皆さんとお茶を飲んで歓談する、といった流れです。
その後の茶話会では、認知症当事者のご家族の方同士で、愚痴やつらい経験を話し合うこともあれば、病院の情報を共有したり、昔話に花を咲かせたりすることが多いですね。
――ヨガやダンスは講師を迎えて行われるのでしょうか?
大來:講師は呼ばず、基本的には私や父が司会を行い、DVDの教材を活用して指導しています。
このDVDでは、ヨガやダンスの使用曲に美空ひばりさんの曲や演歌といった、高齢者世代に人気の曲がポップ調にアレンジされたものが使われており、参加者の方々は楽しみながらも真剣に取り組まれていますね。
――主に、どんな方が参加されるのでしょうか?
大來:今のところ、参加者の年齢層は最年少が62歳で、最年長が84歳です。
お住まいのエリアは徒歩数分~30分圏内の方が中心ですが、下関から車で2時間かけて来られる方もいらっしゃいました。参加目的は、私に会いたかった、お寺に興味があった、イベントに興味があった……など、さまざまですね。
また、認知症の当事者が家族に連れられて参加することもあります。もちろんそういう方が来られても大丈夫です。ちなみに、ある認知症の方は、普段は出不精だそうですが、徳地のえんがわカフェにだけは来られるそうなんです。この催しが認知症の方にとって、一つの居場所になっているのではないかと思います。
――ご活動において、何か工夫をされていることはありますか?
大來:まず、金銭面での工夫として、自治体に申請し、最初の3年間は助成金を受けていました。運営費の他、先程紹介したDVDやテレビモニターも助成によって賄っています。
認知症カフェ自体が公益的な活動であり、また父が元行政マンなので手続きにも詳しかったため、申請で手間取ることはありませんでしたね。
また、参加費を100円と低めに設定する代わり、寄付を募っています。参加費を高く設定すると来られないんですよね。ところが料金を低く設定した上で、「ご寄付ください」と案内すると、来てくださる上に寄付もしていただくことが多いんです。このようにすることで、結果的に多くのご支援をいただくことができました。
広報の面では、開催日にのぼりを立てて近隣地域の方々にわかりやすくしているほか、プレスリリースを発行して地元の記者クラブにポスティングしました。こうすることで、地元紙の記者が新聞に掲載してくださり、費用を掛けずに広報ができました。地方では新聞の影響力が大きく、プレスリリースは大きな選択肢となっています。