催しを通して、地域の不安に寄り添う|「徳地のえんがわカフェ」ー山口県超勝寺
認知症がもっと理解されるために。徳地のえんがわカフェの将来像。
(画像提供:大來さん)
――ご活動の成果や気付きはありますか?
大來:地域の方の、お寺に対するイメージが変わったようです。お寺は仏事だけじゃないんだと捉えていただけたのが大きな成果でしょうか。また、嬉しい効果として、気軽に日常生活に関する相談が寄せられるようになりました。
――ご活動における課題を教えてください。
大來:やはり、催しを継続することでしょうか。そして、このような場をもっと多くの場所に増やしていくことも重要ですね。徳地地域には、認知症カフェが数えるほどしかありません。
もっと増やすためにも、まずは認知症カフェの存在自体を知っていただくことから始める必要があります。
また、昨今では新型コロナウイルス感染症がまん延しているため、いかに安全に催しを開いていくかも課題の一つですね。
――こうした認知症カフェをお寺で行う意味は何だと思われますか?
大來:やはり、お寺は特別な空間であるということですよね。そこには、ほっと出来る、強がらなくても良い、悩みを抱えていても良い、お寺だったら大丈夫という安心感など、多くの意味が含まれているのではないでしょうか。
皆さん、お寺に居る時は穏やかなんですよね。普段から穏やかな人はもちろん、普段は少し刺々しい感じの人でも、不思議とお寺では穏やかです。それはおそらく場の持つ力が働いているのだと思います。
また、本堂で催しを行う場合、私がお願いをせずとも、参加者は必ずご本尊に手を合わされています。手を合わせることによって気持ちが日常から非日常へと切り替わり、穏やかになっていくのかもしれません。
――最後に、今後の展望をお願いします
大來:現状はどちらかというと参加者の方にとっての「憩いの場」になっています。それはそれで良いことではありますが、できればもう少し発展させて、専門的な勉強会ができればと思っています。特に、より若い世代の方々にも参加していただけるような場を用意できれば良いですね。
いまの参加者には引き続き楽しんでいただきつつ、若い世代に向けて認知症を理解できるようなワークショップや、VRで体験できる仕組みを取り入れたいと思っています。
――ありがとうございました。
編集後記
(画像提供:大來さん)
徳地のえんがわカフェは、現在も非常に人気のある催しだそうです。それは、地域の方々が認知症に対して不安を抱いている裏返しなのでしょう。そんな不安に対して、さまざまな工夫を重ねて催しを開く大來さんの姿が印象に残ります。こうした催しが地域に広がれば、より安心して暮らせるのかもしれません。
大來さん、ありがとうございました。