再確認する浄土真宗寺院の魅力。これからのお寺のカギは「法座」!│東京都照恩寺<前編>
初めてでも大丈夫 法座は面白いんです
――先ほどおっしゃった、第4土曜日の法座で新しく始められた法座ですよね。その「はじめての法座」はどのような法座なのでしょうか?
溝口:今年から、「法座を面白く」をテーマに実験的試みとしてスタートした法座です。「興味があるけど躊躇している」「一度行ってみたけどよく分からない」「何度か行ってみたけど初心に戻りたい」そういう方々のための法座として始めてみました。現代の価値観とのズレを少しでも解消したいのです。
宗教とは、仏法とは、阿弥陀とは。また自身における生死とは、自分とは、救いとは何かを聞く中で、やがて人生の悲しみや苦しみ、また喜びを受け容れて味わっていける。そうして「法座を面白く」感じてもらえる第一歩となるように考えています。
この「面白い」というのは、例えば落語や漫才を聞いたときの面白さではなく、関心を喚起され自身の感覚が揺さぶられるような、ハッとする面白さです。
お寺って、どうしても暗いイメージがあります。「誰かが死んだときに行くところ」というようなネガティブなイメージですね。そこは単純に払拭していきたいです。
まずはネガティブで入りにくいお寺のイメージを変えていくところからがスタートなので、私はお寺のビジュアル面を中心に法座以外のイベントも充実させて、最終的に法座の面白さが伝わればと考えます。
――法座にお参りいただくために、世間のニーズに合わせてお寺の在り方を工夫されているんですね。溝口さんの中で、こういうお寺にしたい、というイメージやアイデアはありますか?
溝口:そうですね。例えば暖簾のルーツが幕だと聞いたことがありましたので、現在、本堂向拝に暖簾を設置し入りやすさを、また和洋折衷の植栽で親しみやすさを作っています。その他にウェブサイトや看板、ロゴなどブランディングに力を入れ独自の付加価値を高める工夫も行っています。理想としては本堂とカフェとが近い間隔で併設された新たな法座空間を創り出すことができればいいですね。
さらに境内という一つの空間の広がりの中で、法座×アート×〇〇といった幾重にも重なる新たな展開ができれば面白いとも思っています。他にもいろいろとイメージやアイデアはありますが、とにかく環境づくりは重要だと考えています。
「はじめての法座」告知用ビジュアル(写真提供:溝口さん)
溝口:一方で、お寺はどこまでもシンボリックでないといけないとも思っています。
都市に暮らす人々が「心の拠り所として集う場所」を「サードプレイス」と名付けられた話を聞いたことがありまして、まさに現代におけるお寺の存在はそこにあるのではと思っています。家(ファースト)と職場(セカンド)、そしてもうひとつ、大事な拠り所となる空間(サード)。そこに在って見つけやすく入りやすい、そんな場所として、この照恩寺が地域に存在できればと考えています。
――お寺は落ち着く場所でありながら、非日常的な存在でもあるべきということでしょうか。地域に「拠り所となる」場所があることは、人びとにとって安心につながるのかもしれませんね。
(写真提供:溝口さん)
東京都照恩寺について
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 聞光山 照恩寺
【住所】
東京都小平市美園町3-23-20
【TEL】
042-341-2935
【webサイト】
https://www.shouonji.jp/
現代アート×お寺!お寺ってこんなに面白い場所なんだ│東京都照恩寺<後編>