イタリアン精進料理から産まれた最中。生産の過程で気づいたお寺の魅力。|ごきねぶり最中―広島県浄謙寺<後編>
お寺の魅力を活かした活動を。
(浄謙寺公式Instagramより)
――お寺が持つ魅力はどういったところにあると思われますか?
浄謙:一言でいうと「伝統的な空間とコミュニティが一体化している場」ですね。お寺という伝統的空間と、コミュニティスペースが共存しているところに大きな意味があると思います。多くの方にとって、日常にはないものがお寺にはあって、長い歴史の中で人々を魅了し続けてきたのでしょう。
住職と若院(浄謙寺公式Instagramより)
――浄謙さんが思う、コミュニティとはどういったものでしょうか?
浄謙:「地縁」でしょうか。これは都会と田舎どちらにも言えることだと思いますが、地縁の中に成り立っているのがお寺だと思うんですよね。地域の中にお寺があるのでみんな協力してくれますし、それこそがお寺が持つ魅力だなと思います。
そして、今後は地縁ではない人もコミュニティに加わっていただければと思います。御器ねぶりプロジェクトのメンバーだったり、イタリアン精進料理の常連さんだったり……いろんな活動でご縁のあった方もコミュニティに加わっていただければ、より大きな力となるのではないでしょうか。
田舎を残していくためにも多くの方とつながることが大事で、お寺の人と、お寺に関わる人とが持ちつ持たれつな関係を築いていけるのではないかと思っています。
――最後に、浄謙さんの今後のご展望をお願いします。
浄謙:地域づくりの拠点になれるお寺を実現したいと思っています。小豆や野菜の生産、精進料理を作ることも地域づくりだと思いますし、田舎の維持に繋がるでしょう。お寺がまちづくりに関わることで、お寺と地域が同時に発展できれば理想的ですよね。
イタリアン精進料理に関しては、どんどんお料理のクオリティを高めていきたいと思っています。その一方で、よりリーズナブルな価格帯の食堂のような展開も模索しています。若い世代にも精進料理やお寺を楽しんでいただける機会を増やしたいですね。
ごきねぶり最中は、芸北を中心として有志のグループを作ろうと模索中です。メンバーを増やして、将来的には「おぜんざいを食べる会」といった催しをお寺で開きたいですね。また、商品は販路の拡大を検討しており、東京のアンテナショップといったところでも販売できればと思っています。
さらに、お寺の隣にある空き家を活用して、民宿を始める予定です。精進料理を食べて田舎に泊まる、そんな宿坊のようなイメージですね。現在、行政に宿泊業の許可を申請しており、来年度には営業を始められる見込みです。
これらをひっくるめて「お寺づくりは地域づくり」、「地域づくりはお寺づくり」という双方向に影響を与え合うような活動をしていきたいと思います。
編集後記
今回は、広島県浄謙寺さんのご活動の様子をインタビューしました。イタリアン精進料理の企画づくりが非常に丁寧で、地域を大切にされている浄謙さんの姿勢が多くのご縁を呼んでいるのかもしれません。人口減少が著しい農村部の地域や寺院からは、諦めの声もしばしば聞こえます。しかし、そんな地域でもまだまだ可能性が秘められているかもしれない……そう思わせられるインタビューでした。浄謙さん、ありがとうございました。
広島県浄謙寺について
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 浄謙寺
【住所】
〒731-2312
広島県山県郡北広島町奥原161
【公式webサイト】
【公式Instagram】
https://www.instagram.com/shojin_italian/