子どもたちの健やかな成長を願って。お寺を活用した子育て支援。|子育て寺子屋―北海道真宗寺
さまざまな人に支えられて
(画像提供:朝倉さん)
――催しを通して、印象に残っていることはありますか?
朝倉:成長した子どもたちがお参りに来てくれることです。 0〜2歳で来てくれた子どもは幼稚園に通い始めますよね。その際のお寺との接点として、初参式や入園のお参りといった行事も行っています。
当初、0歳で「子育て寺子屋」に来た子どもたちが、ランドセルを背負ってお寺にやってくる姿を見たときは感動しましたね。
――苦労されている点、課題だと感じている点はありますか?
朝倉:子どもたちが成長した後の繋がり方は、現在も模索している段階です。
例えば、お盆の時期には地域の方々のご協力の下、境内でキッチンカーやヨーヨー釣り、スーパーボールすくいなどのブースを展開して、お盆まつりを実施しています。すると、かつて子育て寺子屋に来てくれた子どもたちが遊びに来てくれるんですよね。
とはいえ、学校でのコミュニティも形成され、思春期にも入る時期なので、なかなか接するのが難しいと感じています。
お盆まつりの様子(画像提供:朝倉さん)
また、集客は日々試行錯誤しています。なかなか常連にはなっていただけないんですよね。
当初はポスターを地域のコミュニティセンターに掲示したほか、Facebookで告知していました。ところが、だんだんFacebookのユーザー層が変化してきたので、最近はInstagramでも発信しています。
ただ、Instagramも20歳代のユーザーが減りつつあると聞きました。今後は、SNSの動向を注視して、お母さん世代がよく利用しているSNSを選択していく必要があると感じています。
――催しを行われて、どういった気付きがありましたか?
朝倉:子どもたちだけではなく、親同士が繋がるところに大きな意味があると気づかせていただきました。交流する中で悩みを共有するお母さんもいらっしゃいます。私も他の参加者も専門家のようなアドバイスこそできませんが、「大丈夫だよ」と声をかけることで救われるものがあるんですよね。
昨今は子育てに関するさまざまな問題が可視化され、インターネットでは不安を煽るような情報も散見されます。そんな状況下で、共に子育てをしている方が「大丈夫だよ」と伝えることで、お母さんたちの大きな支えになっていくのではないでしょうか。
また、この催しは10年間続けることができました。これも、来てくれる子どもたちはもちろん、妻や門信徒の方々が支えてくださったからこそ成し得たものだと思います。
子どもたちに理解が深い門信徒の方も多く、絵本やおもちゃの中には門信徒の方から寄贈されたものもありますし、ボランティアでお手伝いをしてくださる方もいらっしゃいます。
――お寺が持つ魅力はどういったところにあると思われますか?
朝倉:やっぱり、年齢も性別も関係なく、誰もが来て良い場所であることですね。
真宗寺では「写経寺子屋」という催しも行っていますが、そこでは高齢者から子どもまで、みな同じ空間で写経をしていただいています。お寺はかつて公共の施設だったと感じさせられる光景ですよね。
ところが、現代はその役割が薄れてしまいました。今後は、かつてお寺が持っていた役割を改めて担うような取り組みがあっても良いのではないでしょうか。
――最後に、今後のご展望をお願いします。
朝倉:今後も子育て寺子屋を継続したいと思っています。いずれは、子育て寺子屋に来てくれた子どもさんが親になって、子どもを連れてお参りに来てくれたら、我々としても親子の繋がりを感じられますよね。世代を超えた、お寺とのご縁づくりを模索していきたいと思います。
――ありがとうございました。
編集後記
今回は、北海道苫小牧市の真宗寺 朝倉恵昌さんに、子育て寺子屋の催しについてお伺いしました。朝倉さんはもちろん、門信徒の方々や参加されたお母さん方が、子どもたちの健やかな成長を願い、それぞれが力を合わせている姿にぬくもりを感じました。
いろいろな人を受け入れるお寺は、お母さん一人ではなく、地域のみんなで子育てに取り組む場としてマッチしているのかもしれません。
朝倉さん、ありがとうございました。