主役はイベント参加者?来た人の数だけふくらむお寺の夢―広島県浄泉寺
――来てくださる方がだんだんお寺を自分たちの場所として考えられるようになったということですね。
「お寺でフェスタ!」以降、浄泉寺でされているイベントは遊亀山さんが企画をされているのですか?
遊亀山:実は、法座以外で私が主催しているイベントはほとんどないんです。というのも、私がイベントを主催しなくても、イベントの参加者同士がつながってくれるので、自然と盛り上がるんですよね。その意味で、今のお寺は人びとのクロスポイントになっており、お寺としてふさわしい場が出来上がっていると思います。
それに、住職である私が主催をしていろいろと口を出すと、イベントの可能性が潰されてしまうように思うんです。参加する皆さんが、誰の指示を受けることもなくそれぞれが「いいイベントを作ろう、いいお寺にしよう」という意思で動くからこそ、バリエーションも増えて規模もどんどん拡がっていくと思っています。
なので、浄泉寺からはゴールや目標をあえて設けず、来てくれた人が住職の私にはない発想や行動で、浄泉寺を作りあげていただけると嬉しいですね。
――来てくださった方が、お寺を色づけているんですね。では、そのイベントの内容を教えてください。
どういうイベントが行われているのでしょうか?
遊亀山:地域の人たちが楽しめることがテーマのイベントが多いです。その中でも多いのは音楽イベントですね。尾道市にある「ハライソ珈琲」のマスターと「templeplanet」というバンド・DJ活動をしていて、そういったイベントの際は本堂の天井にミラーボールを設置したりしていますね。
音楽イベントの魅力は、音楽を通して空間が一つになることです。それは論理的に説明できるものではなく、みんなが立場や年齢といったものを超えて、共に音楽の世界に没入することで一体感が生まれるんですよね。また、参加者がイベントをコーディネートしていることも、一体感を生んでいる理由かもしれません。
そして、一体感が生まれた結果、来てくださった若い方が手を合わせておられるんですよね。
イベントの様子(写真提供:遊亀山さん)
――人間が内に秘めたエネルギーを、音楽は垣根を超えて引き出してくれるような気がします。
それでは、遊亀山さんが思われるこれからの寺院像を教えてください。
遊亀山:変わり続けていくことが理想でしょうか。そのためにもいろんな人がお寺に関わってくださると嬉しいですね。いろんな人が来ることでお寺に吹き込まれる新たな風は、AとBがただ足されるのではなく、掛け合わさってCという新たなものが生み出される可能性を秘めています。その、”C”が果たして良いものか悪いものかはわかりませんが、それよりもどんどん変わっていくことが大事だと思うんです。引き続き、いろんな方に関わってもらえるようなイベントを続けていきたいですね。
――ありがとうございました。
広島県浄泉寺について
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 遊亀山 浄泉寺
【住所】
〒722-0044
広島県尾道市西久保町2-2