「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ 【阪神・淡路大震災編】
はじめに
1995年1月17日、「阪神・淡路大震災」が発生しました。兵庫県南部を中心に、早朝の大都市を襲ったこの大地震では、6,434人もの犠牲者を出しました。阪神・淡路大震災とはどんな地震だったのでしょうか?まずは、下記リンク先の冒頭映像をご覧ください。(*1)
(動画はこちら)
https://www.asahi.com/special/hanshin-shinsai117/
阪神・淡路大震災とは?
前回に引き続き、今回は阪神・淡路大震災について、黒田 真吾(くろだ・しんご)さんに教えていただきます。
黒田 真吾さん(以下:黒田):映像をご覧になって率直に、どのように感じましたか?
――立っているのが難しそうに見えますね。それと、机などがない場所では身を守れないのではないか、とかなり不安になりました。
黒田:たしかに。被災された方々から「その瞬間は何もできないよ」と教えていただきますが、まさにその状況が実際の映像からよく伝わります。ご感想から想像すると、おそらく、人の動きに注目して動画をご覧になっていましたね?
――どうしてもそこに注目してしまって……あとは陳列棚の動きも気になりました。
黒田:なるほど。それでは、もう一度だけ。今度はコンビニの床の動きに注目して見てもらってもいいですか?
――改めて見てみると、とんでもない動きをしていますね。前回のテーマだった、新潟県中越地震はもっと小刻みな動きだったように思います。日頃ビクともしない地面がこんなに動くことはイメージできていなかったです。
地面が1mも動いた
黒田:阪神・淡路大震災の地震観測記録を基に、地面の動き(軌跡)を描くとこのようになります。
【図1】阪神・淡路大震災発災時の地面の動き(アニメーション)
難しくならないように感覚的に言いますと……ちょっとゆったりとしたリズムで、一気に1m近くグルンと動く瞬間がありますね。これが2階建ての一軒家にとって、とても嫌な揺れのリズム(周期)と振幅の大きさであり、多くの家屋倒壊を招いた要因だとも言われています。
「地面がこんなに動くことはイメージできていなかった」というコメントは多くの方が共感する点だと思いますが、それでは、逆にどのようなイメージができているのでしょうか。
――まず怖い縦揺れ、そして小刻みで激しい横揺れが襲ってくる。という感じかなと。
黒田:たしかに!そういう風におっしゃる人がとても多いので、そのイメージが何に拠るものか伺ってみると、学校や地域の防災訓練で体験した起震車の話が出てきます。
――まさに、それです。
黒田:起震車は、本当の地震と同じように、水平動=東西南北(前後左右の横揺れ)に加えて上下動(いわゆる縦揺れ)も再現できる優れた装置であり、自治体が保有する場合も多いので誰もが手軽に体験することができます。
とくに、最初に襲う縦揺れはものすごい恐怖感を与えます。しかし、起震車の写真【図2】を見てわかるように、トラックの荷台の上で動くために、とくに横揺れの大きさは荷台の幅に限定されてしまい、数十cm程度の揺れしか再現できないのです。
つまり、冒頭の動画で見られたような1mにも及ぶような横揺れは、なかなか体験することができないのでイメージするのが難しいのも仕方ありません。ただ、現在では、具体的に地震の瞬間やその前後をイメージする力を養うための貴重な資料や体験ツールが充実しているので、ぜひ積極的に探してみてほしいですね。
【図2】起震車の様子
――関東大震災(9月1日)は海溝型地震でしたが、阪神淡路大震災は新潟県中越地震(10月23日)と同じく直下型地震ですよね。第1回のコラムで「あらためて地震発生のメカニズムについても触れます」とおっしゃっていましたが、それぞれの地震の型(タイプ)にからめて分かりやすく教えて欲しいです。
黒田:分かりました。(授業のようで眠くならないか心配ですが)
では、まず、地球をパカッと割って内部を見てみましょう。【図3】(次のページへ)