「地震」って何だ?地震大国の日本で暮らすということ【北海道胆振東部地震編】
はじめに
2018年9月6日 北海道胆振東部地震【まいにち防災】
(動画引用元:
https://www.youtube.com/watch?v=fvlr8NnfgQw)
平成30年9月6日午前3時7分、北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とするマグニチュード6. 7の地震が発生。震源の深さはやや深い37km。厚真(あつま)町で震度7、安平(あびら)町などで震度6強を観測。死者44名、住家全壊479棟(平成31年1月時点)の大きな被害がもたらされました。この地震は「平成30年北海道胆振東部地震」と名付けられています。夜中に発生したという衝撃と、北海道全域で停電するなど地震後の被害についても強く印象に残っている出来事です。
今回は、北海道胆振東部地震について前回に引き続き黒田 真吾(くろだ・しんご)さんと一緒に考えます。
夜中3時の衝撃。
図1:厚真町の被害の様子 北海道震災復興パネル「被害」の状況
(画像提供:北海道)※この情報は北海道のオープンデータを利用しています
――まさかの時間ですね……。
黒田 真吾さん(以下:黒田):夜中の3時に震度7の揺れが襲うことを想像すると、本当に怖いですね。起きていても対処が難しいのに、眠っているときだとさらに大変です。最大震度7を観測した厚真町は震央から10キロメートルほどしか離れておらず、地震発生から数秒で大きな横揺れ(主要動)に見舞われていたと考えられます。この地震では、最初の地震波の検知から7.3秒後に緊急地震速報が発令されていますので、速報を聞く前に揺れに襲われていたということになります。(*1)
――震源が内陸の場合は、速報が大きな揺れの到達に間に合わないことがあるというのは、これまでも学んできましたね。
黒田:はい。安平町など震度6強以上を観測している6地点は全て震央から30キロメートル以内にあって、主要動の到達に10秒かからないくらいなので、これらの地域では「速報とほぼ同時に揺れた」という人が多くいたのではと思います。暗い中でとっさに身を守れるかどうか、自分ごととしてしっかりイメージしておく必要がありますね。
ーーどのような被害があったのでしょうか。
黒田:この地震の死者数は44人、住家全壊数は479棟です。(*2) 被害の多くは土砂災害(がけ崩れや土石流)によるところが大きく、がけ崩れは133件発生し30名が死亡、住家30戸が全壊。土石流は94件発生し6人が死亡、住家14戸が全壊となっています。(*3) 図1の写真のような光景がテレビに映し出されていたことは未だ記憶に新しいです。
ーーどうして地震なのに土砂災害なのでしょうか。
黒田:この地震が発生する2か月前には「平成30年西日本豪雨」が発生していますが、北海道胆振地方厚真の観測点でも6月〜8月の降水量合計(570.5mm)は平年値(374.4mm)に比べてかなり多くなっていたようです。(*4) 周辺に火山が多い厚真町では軽石や火山灰などが厚く堆積した地質の地域であり、そこに大量の雨が降って地下水が蓄えられたところに地震の揺れが襲ってしまい、斜面が崩壊したと考えられています。地震と大雨の複合災害だとも言われています。(*5)(*6)
ーー近年雨が増えているので、場所によっては同様の被害に注意しないといけませんね。
黒田:そうですね。土砂災害警戒区域に指定されている場所等は、日頃から大雨による災害発生の可能性が高いところなので、地震の有無に関わらず要注意です。(*7) 住んでいる場所がどんな土地で、危険を抱えているかどうか知るツールや機会は意外と身近にありますので、まずは関心を持って知ることが大切です。一方で、自治体などはもっと分かりやすく伝える努力が必要だとも思います。(*8)