融通[ゆうづう]の意味とは?【くらしの仏教語豆事典】


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2013年2月13日
記事作成:他力本願ネット

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融通[ゆうづう]…念仏はすべてのものに融通する

 

「ちょっと融通してくれませんか」といえば、

金銭や物品を貸してくれませんか

 

ということで、「あの人は堅くて融通のきかない人なんだ」といえば、

少々理論的にはおかしくても、

なんとか処理してくれるというような人ではないよ、

という意味なのでしょう。

 

とにかく、融通は、一般に日常語としてよく使われています。

『華厳経(けごんきょう)』【※】の世界観の眼目は、

融通無碍(むげ)という思想だといわれています。

 

宇宙の万物はそれぞれ孤立しているものではなく、

互いに関係を保ち、よく調和しているというのです。

 

融通とは、別々のものが融けあい、

通じあい、両方が相まって

完全なものとなることを意味する仏教語なのです。

 

念仏はすべてのものに融通しているところから、

融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)【※】という名の宗派もあります。

では、ほんとうの意味で融通のきく人とは、どんな人なのでしょうかね。

 

 

【※華厳経(けごんきょう)】

詳しくは『大方広仏華厳経』といい、大乗経典の一つ。

漢訳には八十巻本・六十巻本・四十巻本の三種があり、華厳宗の根本聖典。

釈迦が成道の直後に自ら悟った内容をそのまま示し、その悟りにいたる段階を説き、

精神の深まりを説く経典で、全世界を毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)の 顕現であるとする。

 

【※融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)】

1117年、良忍が阿弥陀仏から直接授けられたという偈頌

「一人一切人、一切人一人、一行一切行、一切行一行」

によって開宗した浄土教の一派。『華厳経』『法華経』を正依、浄土三部経を傍依とし、

一人の念仏が万人の念仏と融通しあって往生できると説く。

 

 

 

「くらしの仏教語豆事典」より転載
(ホームページ用に体裁、ふりがな等を調整しております)
 
     

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掲載日: 2013.02.13

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