現代の僧侶に求めるものとは|せいざん株式会社インタビュー⑤
絶対的なルール「〇〇に手をつけない」「会社を〇〇しない」
ーー利益は少なくても、人のためになるような事業をずっと続けてこられたお二人ですが、なにかルールのようなものはありますか?
池邊:そうですね……岩田と私、役員の決め事が2つあるんです。ひとつは「お布施には絶対手をつけない」ことです。
ーー池邊さんたちの契約によって新たに法要が生まれたからといって、そこからはお金をいただかないということですか?
池邊:はい、一切。
岩田:一切。それはもう昔の事業のときから一貫しています。
池邊:お布施の本来の意味を考えると。ご仏前にお供えされるもの、そのために僧侶に託されるものだっていうのは知っていますので、その上で手をつけることはできません。鉄則ですね。
ーーなるほど。もうひとつは何でしょう?
池邊:「会社を大きくしない」ということです。これまでお話した通り、私たちの事業というのは、短くはない期間続いていく供養に携わっています。ということは、寺院が続く限り私たちも墓守をする責任を負っているということなんです。
会社を大きくすること=リスクだと私は思っています。私たちの会社は、リスクを取って大規模化するよりも、たとえ小さくても、少額の利益をあげながら100年続けることの方が大切なんです。会社規模の拡大ではなく、価値ある事業の推進を重要視して成長していきます。
ーー持続可能な状態にあることが一番の優先事項である、ということですね。
池邊:はい。持続させることが、なにより私たちの大命題です。続けていくために多少の規模拡大はあったとしても、上場を目的とした事業拡大は考えていません。
納骨堂運営事業には売上という意味では限りがあります。それは最初からわかっていることなので、売り上げが上がらなくなっても、他事業で売り上げを立てながら、一人は必ず墓守を置けるようにと考えています。そのためのチャレンジならいくらでもします。
ーーすばらしいですね。もうお寺そのもののような……。
池邊:いえいえいえ。
ーー後継者のいないお寺のお手伝いにも入ってもらいたいぐらいです。
岩田:僧侶の方のなかには、お寺だけでは食べていけなくて、働きに出ていらっしゃる方も多いですよね。そういう方のお手伝いとかはできれば良いなとは思います。
まだまだうちも小さい会社なのですが、できればなにかお力になれたら良いなとは考えています。