現代の僧侶に求めるものとは|せいざん株式会社インタビュー⑤
現代の僧侶に、「こうあってほしい」と思う姿
ーー最後にお聞きしたいのですが、宗教者との接点も多いお二人から見て、現代の僧侶の役割は何だと思われますか?
岩田:まずお寺さんは場所がありますよね。それはとても大きなことだと思います。そこが駆け込み寺じゃないですけど、なにか困った人を受け入れるような立ち位置であってほしいとは思いますね。
池邊:お寺さまがお忙しいのは承知しているつもりなので、できる範囲で、ということですが、何か困りごとを抱えて来られた方のお話を全て聞くのは難しくても、「あそこなら解決してくれるかもしれないですよ」とか「これをやってみたら?」とか、提案できる情報を持っておいていただくだけでかなり違います。
ーー地域の困りごとのハブみたいな役割ですね。
池邊:そうですね。「どこどこで、こんな取り組みをしているから行ってみて」とか「市役所の〇〇さんなら、そのことについて詳しいよ!」とか。どこに行けば良いかわからずに行き詰まっている人に対して、風通しを良くしてあげるようなことができると思うんです。
ーーなるほど。
池邊:否定されないだけで気持ちが少し楽になる、という人もいます。「あの人は話を聞いてくれる」「変な顔をされない」というだけのことが、なかなか得られない社会ですから。
無理やりに「わかるよ」なんて言ってくれなくても、「うん、うん」と聞いてくれるだけで良いので。そんな風に僧侶の方には、世間に通ずる「聖人」であってほしいという気持ちがあります。
ーー世間に通ずる聖人ですか。
池邊:はい。世の中のことに通じているけれども、どっぷりははまり込んでいない、そういう存在でいてほしいなと思います。
編集後記
膨大な数の葬儀やお墓に関する相談をひとつひとつ丁寧に受け続けたお二人からみた僧侶のあらまほしき姿。自分はどれくらいその期待に応えられるだろうか、と身が引き締まるインタビューでした。