京都SKYセンター<前編> シニアサークルの活動を通して考える、心豊かな老後の生き方とは?
集中と試行錯誤。そして、悦びを味わう。─京都SKY 生け花クラブ
日常生活でふと「違う環境に身を置きたい」「何かに集中したい」そう思うことはありませんか?
そんな気持ちを持った方が集まる京都SKYセンター「生け花クラブ」。
月に一度、昼下がりに行われる5人程度のこの集まりは、少人数だからこそそれぞれが季節の草花を楽しみながら、作品作りに専念できます。
参加者の皆さんは、その日用意されたお花を受け取り、一度自分なりに生けてみた後、代表の瓜生 眞佐世(うりゅう・まさよ)さんからアドバイスをもらって、一つの作品を完成させます。
お花を生け終わった後は作品を鑑賞し合います。他の方の作品を見ることも勉強になるのだそうです。それからおしゃべりの時間を作り、お茶を飲みながら雑談をすることも。平均年齢が70歳くらいのクラブということもあり、体の不調や家族の話が自然とこぼれ落ちます。生け花クラブはそうした日常の悩みの情報交換の場にもなっているようです。
「最初は自分が見て好きだな、きれいだな、と思えばそれでいいんです。参加しているうちにそういったセンスや見る目をだんだん磨いていってもらえれば。」
そう語る瓜生さん。お花は一度上手に生けられたと思っても、離れて見てみると気になる部分が出てきてまたやり直すことも珍しくありません。お花と向き合って試行錯誤しながら、一つの作品を完成させるという体験は、私たちを日常から少し離れさせ、生活を豊かにする働きがあるのかもしれません。
修理を通して「ありがとう」に出会う。─京都SKYおもちゃ病院
「高齢になるにあたってこれから何をしたら良いのか。」
そう悩んでいた一人の高齢者が出会った、おもちゃの修理ボランティア活動、「おもちゃ病院」。
「これなら私でもできるかもしれない、しかし、一人ではダメだ。」そう考えて京都SKYに協力を依頼したのが、京都SKYおもちゃ病院の始まりだったといいます。
2009年に始まったこのシニアサークル活動は現在12年目。18名のメンバーは全て高齢者。京都市左京区の葵児童館や伏見区の住吉児童館などを中心に定期的に活動し、持ち込まれるおもちゃたちをひとつひとつ丁寧に修理しています。時には、親子二世代にわたって遊んでいた、思い出のおもちゃなどが持ち込まれることも。
「子どもが本当に喜んで、飛び跳ねて、『おっちゃんありがとう、大切に使う』と言ってくれます。こんなに直接的に子どもにありがとうを言ってもらえる活動はそうありません。私たちのほうがありがとうをいいたい。」
現代表の泉谷 隆信(いずみたに・たかのぶ)さんは、活動をそう振り返ります。
「おもちゃを大切にすることを通じて、子ども達に『ものを大切にする心』が育まれていきます。発足は自分たちのため。自分たちが何かしたい、という思いで発足したのが、こんなに素晴らしいことに出会わせてもらえました」
まとめ
今回は、京都SKYセンターの、4つのシニアサークルに焦点を当て、いろいろと考えさせていただきました。「シニアサークル」と一言で言っても、その活動は芸術や文化だけでなく、児童への援助や対人支援など、さまざまな分野にわたっています。
一方で、4つのシニアサークルに共通することは、それぞれのメンバーが「やりがい」や「生きがい」を感じていることです。「人生100年時代」とも言われる現代において、老後を心豊かに生ききることはとても難しいことなのかもしれません。ですが、それを模索する方法もたくさんあることも、各シニアサークルさんのご活動を通して教えていただきました。
生活から健康、生きがいづくりまで、ありとあらゆる支援を行う京都SKYセンター。他にも、情報誌「SKY」の発行や「SKYサークル活動支援」、「SKYセミナー」と、ありとあらゆるサポートを行っておられます。
さらに、多くのシニア世代の方が悩みを抱えていることを受け、「高齢者情報相談センター」を設立。終活や介護に関する情報提供や、生活の悩み相談、弁護士による専門相談を展開しておられます。後編記事では、日々たくさんの悩みと向き合うこの高齢者情報相談センターの相談員の方から、シニア世代が抱える「悩み」について、生の声を伺います。