子どもから外国人まで過ごせる高齢者施設のお話|はっぴーの家ろっけん、首藤義敬さんインタビュー<前編>
「はっぴー」な日常が生んだ「嬉しい誤算」
ーー「はっぴーの家ろっけん」での日常はどのような感じなんでしょうか?
首藤:普段はこんな感じです(写真)。真ん中に写っている赤ちゃんのお母さんはこの場に居なくて、「ちょっと2時間ほど見といてー」っていう風にここへ預けに来られたあとの状況です。
ミルクを与えているのが、小学校2年生の時の娘です。もうこのときには既に、ミルクはもちろん、おむつも替えられるくらい保育スキルが身についていました。同時に4人の赤ちゃんを見られるそうです。
ーーそれはすごいですね!
首藤:同時に4人の赤ちゃんを見るのは、新人の保育士さんでも難しいらしいです。その後、高齢者の食事介助も始めていました。言葉を発せないおばあちゃんとのコミュニケーションなので、難しいはずなのですが、難なくこなせているみたいです。「すごいね」って褒めたら、娘は「喋れないのは赤ちゃんも一緒やで」と。なるほどなって思いましたね(笑)。
自分の子どもには、こういった日常から学んでほしいという思いがあったのですが、これは嬉しい誤算でしたね。
ーー嬉しい誤算というのはどういうことでしょうか?
首藤:娘が学校に行くかどうか心配と先ほどお話ししましたが、彼女はちゃんと学校にも通っていますし、いまはいろんな人に囲まれていて、週末になると誰かしらと一緒に居るという状況なんです。
学校に行って就職したからといって、将来が約束されているわけではありませんよね。そんな中で、何かを問い続ける、探求する能力に必要な要素として、子どもを年間200人の大人と会わせることが大事だと思っていました。そしてそれができる施設にしようと思っていましたが、ふたを開けると年間どころか、週に200人の大人と会う結果が得られたというのが嬉しい誤算でした。
また、子どもだけではなくて、ここに住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんにとっても、日常の登場人物を増やすのがすごく大事なんです。
特に、どんどん認知症が進行している方には、日常生活の中で登場する人を増やして、ちょっとでもその人にとって新しい関係が生まれたら良いなと思っています。