弔いは暗いもの?「はっぴーの家ろっけん」流のお葬式|はっぴーの家ろっけん 首藤義敬さんインタビュー<中編>
まるでパーティー?暖かな空気に包まれたお葬式
ーー準備の段階で、地域の方々はどういった反応をされていましたか?
首藤:例えば、地域の子どもたちも誰かが亡くなるのになんとなく気付いてくれて、子どもたちなりに考えて、おじいちゃんの写真を壁に貼るといった場作りを手伝ってくれました。
準備を進めているうちに、インターネットで注文した棺も届いたので、これもせっかくの機会だと思い、おじいちゃんのご家族の友人や地域の子どもたちと棺の組み立て体験や納棺体験を行いました。こうしたワークショップを通して、「はっぴーの家ろっけん」でのお葬式は、いわゆる「暗い」お葬式ではなくて、明るくハッピーに見送る行事なんだということが伝わったと思います。
ーーお葬式の当日はどのような様子でしたか?
首藤:もともと日常の中でお葬式を執り行おうと決めていたので、建物の2階でお葬式をしながら1階ではまた別のイベントが行われていました。お葬式の日程も、通常ですとお通夜とお葬式の2日間だと思いますが、ゆっくりとお別れしてもらいたいということで、3〜4日間かけてお見送りしました。
お葬式自体も、暖かい空気に包まれていましたね。食事も、おじいちゃんが好きだったすき焼きをみんなで囲みました。あまりにも暖かな空気感がただよっていたからなのか「この度は我が社の30周年記念パーティーにお越しくださいましてー……。」と勘違いして挨拶する認知症のおじいちゃんも居たくらいです(笑)。
ーーそんなお葬式の風景を見て、ご遺族はどういった感想を持たれていましたか?
首藤:ものすごくびっくりされていましたね。実はそのおじいちゃんは生前、ご家族や周囲の方に迷惑をかけていたそうです。そんなおじいちゃんのお葬式にこれだけたくさんの人が集まったのがとにかく不思議だったようです。
その中でも僕が一番印象的だったのは、お孫さんが言われた「私が成人を迎えたら最初飲むお酒は(おじいちゃんが愛飲していた)ワンカップ大関にしたい」という言葉でした。
このお孫さんは、ずっとおじいちゃんのことが嫌いだったんですよね。自分のお母さんやおばあちゃんに迷惑ばかりかけてきましたから。でもここでのお葬式を通しておじいちゃんに対する見方や、自身の人生観が変わったと言っていました。
ーー印象的なお葬式になったようですね。そんなお葬式を経て、どのような気付きや課題がありましたか?
首藤:お葬式の後、スタッフだけでなく地域の方も交えて振り返りを行いました。亡くなったおじいちゃんのことをよく知っている人はほとんど居ないのに、です。それってすごいことじゃないかと思うんです。どんなタイミングであっても、「死」は強いメッセージを与えるのではないかと気付きました。
課題としては、いかに日常の中で僧侶に関わってもらえるか、ではないかと思っています。「お葬式をする」ということよりも、その方やご家族がどうしたいかを叶えていく中で、日常での関係性はすごく大事ですので。