タイの仏教信仰はどんなもの?タイで暮らした日本人に聞いた|古山裕基さんインタビュー<前編>

仏教と共に暮らすタイの人びと

 

(写真提供:古山さん)

 
――タイでは、約9割の人が仏教を信仰していると聞きました。児童養護施設にも仏壇があり、子どもたちは仏教を信仰していたのですか?
 
古山:そうですね。ご存知の通り、タイは圧倒的に仏教徒の方が多いです。なので、僕が暮らしていた児童養護施設でも毎晩8時くらいから子どもたちが母屋に集まって、お仏壇の前でお経を一緒に唱えていました。
 
50人くらいの子どもたちが一斉にお経を唱える光景は不思議に思いましたね。彼らは両親の暴力や、病気が原因で児童養護施設にやってきた子たちだったので、きっと彼らなりに苦しんだり、色々思い悩んだりしていたんだと思います。そのような中で、たとえお経の意味は分からずとも、一心不乱にお経を唱えることで、心を落ち着けていたのではないでしょうか。
 
――日本とタイで、大きく異なる仏教的な風習はありますか?
 
古山:日本と大きく異なるところは、「托鉢(たくはつ)」が毎朝行われている点でしょうか。タイでは毎朝お坊さんが練り歩いて食料を乞う、托鉢が今も行われています。
 
毎朝、お坊さんが壺のような容器を持って地域の人たちのもとへやってきて、地域の人たちはそこにご飯やパン、牛乳といった食べ物や飲み物を入れて、最後にお祈りをします。
 
タイのお坊さんはすべてこうしたお布施で生活をしていますが、寄付された食べ物をお坊さんがすべて食べるのではなく、最初はお坊さんが食べて、村の人が残りを食べて、最後に犬や鶏が食べていました。
 
タイの人びとはそんな習慣を何十年、何百年と毎日続けてきたわけですよね。それはすごいと思いましたし、それだけ仏教や僧侶に対して、純粋に信仰しているんだと思います。
 
あと、興味深かったのが出家の様子でした。タイの男性は一時出家をする風習があります。出家の時期は結婚の直前に2週間だったり、親が亡くなった時だったりとさまざまですが、僕が見たのは中学生が学期休みに集団で一時出家をする光景でした。
 
お寺での泊まり込みで出家をするのですが、年頃の男の子ばかりですから、それはもう賑やかで、ワイワイガヤガヤとしていました。でも、出家式の日を迎えるとみんな剃髪をして白い装束を身に着けて、それぞれの親族からオレンジ色の僧衣の寄進を受けるのですが、その時に、昨日まであれだけ騒いでいた子どもたちが涙を流して式に臨んでいるんですね。その様子を見たときは驚きを超えて、唖然としました。
 
――それだけ、出家には重みがあるということでしょうか?
 
古山:そうですね。タイの男の子にとって、お坊さんになることが何よりの親孝行なんだそうです。托鉢や出家式の様子を見て、タイの人びとがいかに仏教を篤く信仰しているかが分かりました。
 

タイのお坊さんってどんな人?

   

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掲載日: 2021.12.22