「死んだらどうなるの?」恐怖と孤独に向き合った久保光雲さんが仏教に出会うまで。|久保光雲さんインタビュー<前編>
「仏教は孤独や」久保さんの人生を変えた出会い
芸術大学時代の久保さん
ーー大学時代に浄土真宗に出会ったとのことですが、具体的にはどういったきっかけですか?
久保:私は、小さい頃から絵を描くのが好きでした。真に素晴らしい芸術作品は、見た人の人生を変えると信じていました。
ですから、素晴らしい芸術作品を残すことが人生の意味ではないかと思っていたんですね。それで、京都市立芸術大学へ進学しました。
でも、芸術制作は非常に孤独であり、誰かの人生を変えるような作品を作ることは並大抵なことではないと思い知らされたんです。
そんなときに出会ったのが、仏教美術でした。大学では、「仏教美術史演習」という、関西の国宝を実際に観て歩く授業があったのですが、その時に観た仏像がものすごく魅力的だったんです。特に私に衝撃を与えたのは、興福寺の無著菩薩立像でした。何かを静かに訴えかけるような美しさに圧倒されましたね。
この美しさは、仏教の教えが素晴らしいからだと確信を持ちました。なので、作品を作る前に仏教を学ぼうと決心したんです。
ーー仏教を学び始めて、印象に残ったことはありますか?
久保:やはり、それまで私が悩んでいた「孤独」に対する答えを見出せたことですね。
仏教美術史演習の授業を担当された先生は浄土真宗の僧侶でもある方でした。先生に「仏教には『独生独死独去独来(独り生まれて、独り死に、独り去りて、独り来たる)』という教えがあって、人間はそもそも孤独なんだ」って教えていただいたんです。すごく嬉しかったですね。私が悩んでいた「孤独」に対する答えは仏教にあったのか!と。
あぁ、そう考えていいんだっていうか、そう言っていいんだっていう喜びがあって、たちまち仏教に魅了されましたね。
「あんたは0点や」衝撃を受けた仏教の教え
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他力本願ネット
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掲載日: 2021.07.10