アジアを巡りカンボジアにたどり着いた僧侶の話│安武義修さんインタビュー<前編>
写真提供:安武さん
――海外での交流の中で得られた気づきはありますか?
安武:現在、勤式時代の僧侶仲間で「JSR(Jodo Shinsyu-Rensyokai略)」というグループを結成し、毎年グループでカンボジアを訪れ、共にカンボジア支援を行なっています。そのような活動を継続するうちに、カンボジア人僧侶との交流が始まりました。するとその交流は発展していき、ついには僧侶の王様である「僧王」との謁見のご縁もいただきました。カンボジアは仏教国なので、国王よりも僧王のほうが位が上なんですが、その僧王から言われた言葉が今も心に響いているんです。
僧王に初めてお会いしたとき、私は緊張していました。私は浄土真宗本願寺派の僧侶で、肉も食べるし妻もいる。髪の毛もあって、同じ僧侶として見てもらえないかもしれないと思ったのです。そのことを僧王に開口一番お話しすると、僧王は「仏教は、国によってスタイルや教義の受け取り方が違うのは当然のことです。そういうことは全く問題ではありません。大事なのは「心」です。これからもお互いの良いところを一緒に学び合っていきましょう」と言ってくださいました。
その言葉に、私は初めて受け入れられたと思いましたし、そこからはどの国へ行っても「浄土真宗の僧侶である」ということを誇りを持って名乗ることができるようになりました。自分の大切な教義や信仰を大切にしながらも、相手の宗教を尊重する。その考え方は、後に商店街を再生させるときにも活きましたね。
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他力本願ネット
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掲載日: 2022.06.06