アジアを巡りカンボジアにたどり着いた僧侶の話│安武義修さんインタビュー<前編>

安武義修さん(写真提供:安武さん)

 
福岡県福岡市に吉塚市場という商店街があります。かつては賑わった吉塚市場ですが、高齢化が進み後継者がいなくなり、30店舗まで減少しました。そんな吉塚市場の復活に携わった僧侶がいます。今回インタビューさせていただいたのは安武義修(やすたけ・よしのぶ)さん。
なぜ安武さんがお寺の住職として地域に関わるに至ったのか、そのルーツをうかがいました。
 
 
――はじめに、簡単な自己紹介をお願いします。
 
安武義修さん(以下 安武):福岡県西林寺の住職、安武義修と言います。
前住職である父が剣道の先生だった影響で、剣道一筋の学生時代を過ごしました。高校ではあまり良い結果が出せず、「安武先生の息子なのにお前は」と怒られる日々でした。結局高校時代はレギュラーになれることなく卒業し、それが悔しくて大学では高校以上に稽古に励みました。また、周りの意識も高校の頃より高く、私もその環境についていこうと必死にしがみつきました。
 
その成果が実り、大学2年生の時、はじめてレギュラーとなり全日本学生剣道大会に出させてもらえるまでになりました。しかし、私が負けてしまい団体戦は3位。周りはとても喜んでいましたが、私自身は自分のせいで負けてしまったと、虚しさや後悔の残る試合でした。
 
その後部活を引退し、周囲は就職活動をする中で、私は将来どうしようかと考えました。
当時はお寺を継ぐのが正直にいうと嫌でした。これまで私は、親に敷かれたレールに乗って剣道をしてきましたし、大学在学中に得度を受けましたが、これも私自身の意志ではありませんでした。僧侶になることが嫌というよりも、これ以上敷かれたレールに乗りたくないという思いが大きかったんですね。
 
結局これといった目標が見つからず、卒業後聴講生として1年間大学に残りました。そんな時、たまたま読んだ本に「男なら一度は旅に出るべきだ」という一文があり、これだ!と思いました。そこからニューヨークへの一人旅を皮切りに、親戚が勧めてくれたスロバキアにも行きました。スロバキアから今度はヨーロッパを鉄道で横断し、国ごとに変わる風景や文化を肌で感じました。そうして様々な国を訪れる中でカンボジアと出合いました。
 
 

カンボジアでの出会い

   

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掲載日: 2022.06.06

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