「語るがごとく歌い、歌うがごとく語る」節談説教の世界とは。|梅山暁さんインタビュー
浄土真宗は優しい教え?
「おはなしかふぇ」の様子。梅山さんはお寺を活用した居場所づくりも模索しているという(画像提供:梅山さん)
――現代の布教において、大切なことは何だと思われますか?
梅山:布教にも役割分担が必要だということでしょうか。現代は様々な技術を用いた視聴覚伝道が盛んですが、黒板すら使わない節談説教はその流れに逆行していると言えます。実はそこに悩んだ時期もありました。
というのは、耳の不自由な方に対して黒板すら使わないのは不親切ではないかと。悩みを先生に打ち明けたところ「すべて自分で担おうとしなくても良い」と教えていただきましたね。
何らかの理由で節談説教を聴くことができない方は当然いらっしゃいます。ですが、他の布教方法であれば見聴きしていただけるかもしれません。自分一人ではすべての人に伝えきれないからこそ、さまざまな布教方法があるのではないでしょうか。
――梅山さんが思う、浄土真宗の特徴は何だと思われますか?
梅山:み教えを通して、世界観や人生観が変わるところではないでしょうか。こういう人が幸せで、勝ち組で……っていう、世間の固定概念が根底から覆されていくところに、浄土真宗の魅力はあると思います。
また、厳しい面もありますが優しい教えですよね。それは楽だとか簡単という意味ではなくて、本当にどうしようもなくなったときに、優しくしてくれる教えではないでしょうか。
人生が順調に行っている時、浄土真宗はなかなか響かないのかもしれません。ですが、人生を歩む中でつまずくことや落ち込むことは必ずあります。そんなときに、響いてくるのが浄土真宗のみ教えではないかと思います。ご縁のある人はもちろん、これまでご縁がなかった人にも是非一度は聞いていただきたいみ教えですね。
――最後に、今後のご展望をお願いします。
梅山:最近、三味線の練習を始めました。節談説教研究会が開催している伝統芸能の特別講義で三味線に出会い、魅力に感じたんですよね。直接、節談説教に活きるわけではありませんが、間のとり方など節談説教にもつながると思っています。
将来的には、三味線を用いて弾き語りができればいいなという思いもあります。現時点では夢みたいな話ですが(笑)。あくまでも、因縁を語る際に情景を具体化させるツールとして活用できないかと模索しています。そのためにも、まずは教学をしっかりと学び、お説教を出来るようになる。そのうえで、三味線を弾けるようになりたいですね。
――ありがとうございました。
編集後記
今回は、浄土真宗本願寺派布教使の梅山暁さんにインタビューをしました。特徴的な節だけでみ教えが伝わるのではなく、教学的な裏付けとしっかりした構成があるからこそ、人々が聴きやすい形に仕上がっているのかもしれません。一方で、お聴聞される方々の様子に応じて内容を工夫する柔軟性も求められています。そうした難しさと向き合う、梅山さんの真摯な姿勢が感じられるインタビューでした。
そんな梅山さんは、YouTubeで節談説教に関する動画を発信されています。百聞は一見に如かず。節談説教にご興味がお有りの方は、ぜひYouTubeの動画も観てみてください。
常満寺うめちゃんねる
梅山さん、ありがとうございました。